ラサアプソの性格や特徴、しつけ、寿命や病気、飼い方は?

  • 愛玩動物看護師
  • 監修者:渡邉鈴子
栃木県生まれ。帝京科学大学にて4年間、動物看護学をはじめとした動物関連の科目を学び、2023年5月には愛玩動物看護師免許を取得。これまでにうさぎや猫の飼育経験あり。現在では、ペット栄養管理士の資格取得に向けて勉強中。

ラサアプソはチベット原産の愛玩犬に分類される犬種のひとつです。幸福をもたらす犬として大切にされていますよ。

聖都ラサ市の周辺寺院や一般家庭で飼育されていました。ラサの名称はチベット仏教の聖都ラサ市から、アプソはヤギを意味するチベット語のラプソがなまったものといわれています。

この記事では、ラサアプソの性格や特徴、しつけ、寿命や病気、飼い方についてまとめました。

ラサアプソの基本情報

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歴史について

ラサアプソは2000年の歴史を持つ古い犬種です。ラマ教の僧侶の庇護を受けて飼育され、人の死後「魂が宿る犬」と信じられてきました。

数世紀にわたり高僧や貴族が独占して飼育し、信仰の対象として宗教儀式にも参加するなど、門外不出の犬として代々扱われてきました。

ダライラマがラサアプソを中国の朝廷へ献上する習慣があり1908年に清朝最後の宣統帝を訪れるまで続きました。外国へ献上する場合には、複製を防止する目的でオス犬に限られていたそうです。

中国宮廷のペキニーズと混血して生まれたのがシーズーと言われています。よく似ているのも納得ですね。

特徴について

アーモンド形のくりっとした目や大きくて黒い鼻が非常にチャーミングで、ぬいぐるみのような可愛らしいルックスをしています。聴覚が優れているため、来訪者の足音をいち早く気づいたり、雪山では雪崩の前兆を察知したりすることができます。
ほおやあごに独特のひげがあり、その見た目がライオンに似ているといわれることもあります。頭部から足の先まで艶やかで豊富な長い毛に覆われており、飾り毛豊かな尾を背負っているのも特徴的です。

体高・体重

ラサアプソは体高25~28cm体重6~7kg前後で小型犬に分類されています。

被毛について

被毛はダブルコートで、硬く長い上毛と密生した下毛はこの地域の山羊とともに、山岳地の寒冷気象に適応するように進化しました。毛色は、ゴールデン、サンディ、ハニーなど様々なカラーがあります。成犬になると床につくほどの長毛が魅惑的でミステリアスな印象を与えます。

 

ラサアプソの性格は?

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性格について

ラサアプソの性格

  • 陽気
  • 忠実
  • 警戒心が強い

陽気で忠実

ラサアプソは明るくて主人に忠実な性格をしています。服従心が強いですが、知らない人には用心深くなる傾向があります。子犬の頃から、色んな人間や動物と触れ合う機会を作るといいかもしれませんね。子供との相性はあまりよくありませんが、大人の飼い主の横で昼寝などをしてのんびり過ごすことが大好きな犬種です。一緒にゆるりとした生活をするのに理想的な小型犬といえます。

警戒心が強い

愛玩用に作られたので小型犬の外観をしていますが、警戒心が強く少々頑固で気の強い一面も持ち合わせています。日本では問題行動とされがちですが、警戒心が強くよく吠えるという特質はチベットでは長所とされてきたものです。子犬の頃から吠え癖を付けさせないよう、しつけることでトラブルを予防することができますよ。

 

ラサアプソの散歩やしつけは?

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散歩について

ラサアプソは活発な犬なので毎日の運動は欠かせませんが、多くの運動量は必要ありません。体つきが小柄なので、1日15分程度の散歩を2回ほど行うといいでしょう。

ボールなどで適度に体を動かせるくらいに遊んであげてください。小さい頃から積極的に外に連れ出して、色々な環境に触れさせることで社交性を養ってあげてくださいね。

しつけについて

他のチベット原産の犬に似て頑固な面があるので、粘り強くしつけてあげてください。聴覚がすぐれており、音に反応してすぐ吠えるため、吠え癖をつけないようにしつけましょう

甘えん坊な面があるので、たっぷりコミュニケーションやスキンシップをとって、信頼関係をしっかり構築した上でしつけるのがポイントです。しつけを行う際には、単調なトレーニングではなく、ゲーム等を取り入れて刺激のある状況を作ることがおすすめです。

独立心や好奇心の旺盛さを活かしながらしつけをしてくださいね。

 

ラサアプソの寿命や病気は?

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寿命について

平均寿命

  • 12~14年前後

ラサアプソの平均寿命は12~14年前後といわれています。小型犬の平均寿命と同じくらいです。

病気について

気を付けたい病気

  • 眼病
  • 皮膚疾患
  • 鼻腔狭窄症

ラサアプソは、遺伝病が比較的少なく丈夫な犬種とは言われていますが、主に「眼病」「皮膚疾患」「鼻腔狭窄症」などの病気に気を付けましょう。

眼病

様々な眼病にかかりやすい犬種のため、日々の行動をよく観察し早期発見に努めてください。長毛が目にかかるのも衛生的によくないので、眼球に毛が触れないよう顔の周りの毛は短くカットしてあげてください。

皮膚疾患

ラサアプソは、「アレルギー性皮膚炎」「膿皮症」などの皮膚疾患にかかりやすい犬種です。ダブルコートで下毛が厚いため、夏場は蒸れやすくなります。菌の栄養源を作らないよう、通気を良くして皮膚に湿気を溜めこませないことや、こまめにお手入れしてあげる事、また免疫力が低下しない食事管理などが大切になります。クッシング症候群などは、免疫力が低下するため注意が必要です。

鼻腔狭窄症

短頭種の犬種にみられる病気で、鼻の内部が狭くなり呼吸しづらくなる病気です。軟口蓋過長症も発症したり、熱中症のリスクも高まりますので、苦しそうにしていた場合や口呼吸ばかりをしているようであれば、獣医に診てもらいましょう。

 

ラサアプソの飼育環境やお手入れは?

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飼育環境

一人暮らしの人にぴったりの犬ですが、聴覚が非常に優れているため、外部の音に敏感して良く吠えます。マンションやアパートで飼うときは、騒がしい環境でないところでの飼育が理想です。

夏場は皮膚疾患や熱中症に気を付けたい犬種です。空調管理は徹底してくださいね。

揃えておくもの

準備するもの

  • 飼育スペース・ケージ
  • 食器類・床材
  • 首輪やリード・おもちゃ
  • ドッグフードとおやつ
  • トイレ用品
  • ケア用品
  • 動物病院

ラサアプソとの生活をより快適なものにするために、「飼育スペース・ケージ」「食器類・床材」「首輪やリード・おもちゃ」「ドッグフードとおやつ」「トイレ用品」「ケア用品」「動物病院」などの生活用品や準備を揃えておきましょう。

飼育スペース・ケージ

快適に過ごせるスペースを確保します。サークルは十分な広さを確保できるもので、犬用のベッドやケージ・クレートを用意しましょう。クレートとは箱状の家のようなものであり、犬にとって寝床となったり安心できるものになります。移動するときにも使え、病院へ連れて行くときや災害による避難の際にも活躍します。

愛玩動物看護師 渡邉鈴子さん
クレートは普段から慣れさせておくことで、スムーズに動物病院へ連れていくことが可能です。クレートを動物病院へ行くときにしか使用していないと、クレート=動物病院という認識になってしまいます。普段から使用することで防ぐことが可能です。

食器類・床材

ご飯を食べる時に必要な食器を用意しましょう。水のみ用のボウルとフードのためのボウルを別々に準備してあげてください。食器類を選ぶ際は「耐久性はあるか」「滑りにくくないか」「大きさは適切か」といったことを目安に探してみてください。床材についてはすべりにくい材質のものを選び、思わぬ転倒を防ぐために用意しておくと良いでしょう。フローリングの床で滑って関節を痛めないよう、すべりづらいカーペットを敷くなどの対策をしてあげてくださいね。

首輪やリード・おもちゃ

散歩や運動をするときのために、首輪やリード・ハーネスを準備しましょう。遊ぶためのおもちゃや知育玩具なども用意しておくと、遊びを通して良好な関係性を築くことができますよ。

ドッグフードとおやつ

健康管理のため、年齢に適した高品質の犬用のドッグフードを用意しましょう。初めて犬を飼育する方は、水と餌だけで栄養が賄える「総合栄養食」と書かれたドッグフードを用意するといいですね。飼育に応じて適切な量を与えるようにしてください。絶対に必要というわけではないですが、おやつも同時に用意しておくといいですね。しつけトレーニングの際に「ご褒美」として利用できますよ。

トイレ用品

屋内で飼育する際は、排泄物を処理するための犬用のトイレトレーを用意します。また、トイレトレーニングのために新聞紙やトレーニングパッドも役立ちますので、一緒に揃えておくといいですね。

ケア用品

健康と衛生を保つために、犬用のシャンプーやブラシ、爪切り、歯磨きセットなどのケア用品を用意します。

動物病院

何かあった際や健康管理のために、かかりつけの動物病院も見つけておくと安心です。獣医師の診察や予防接種、必要な薬やサプリメントなどを考慮し予算を立てておくのもいいですね。

お手入れ

お手入れ項目

  • 被毛ケア
  • シャンプー
  • 耳掃除
  • 歯磨き
  • 爪切り

ラサアプソとの生活をともにする上で、日々のお手入れは大切です。「被毛ケア」「シャンプー」「耳掃除」「歯磨き」「爪切り」などを取り入れて清潔を保つようにしましょう。

被毛ケア

被毛の手入れは、皮膚病をケアするためにも毎日のブラッシングと定期的なトリミングが欠かせません。ダブルコートの長毛で、床に引きずるほど長く伸びますので、2日に1回はコーミングをしてくださいね。

シャンプー

適切な犬用シャンプーを使用し、毛並みや肌に合わせた温度のお湯で洗います。頻度は個体や被毛の状態により異なるため、獣医師のアドバイスを参考にするようにしてください。

耳掃除

耳は定期的にチェックしましょう。耳は毛に埋もれているため通気性が悪く、炎症が起きている場合は悪化しやすくなります。

見える範囲でいいので耳専用のクリーナーを使用して掃除をしてあげてください。「耳垢が増えた」「悪臭がする」といった普段と違う様子の場合は病院で見てもらいましょう。

歯磨き

犬の歯の健康は全体的な健康にも関わるため、定期的な歯磨きが必要になります。犬用の歯ブラシや、歯垢・歯石を取り除いてあげてください。歯ブラシが苦手な方は、歯磨き用のおもちゃやパウダー状の食事に混ぜるケア用品も販売されていますので、ぜひ取り入れてみてくださいね。

爪切り

犬の爪は適度な長さに保つ必要があります。必要に応じて爪切りを使用し、適切な長さに切り揃えましょう。

愛玩動物看護師 渡邉鈴子さん
日々のお手入れが自宅で行うのが難しい場合は動物病院やトリミングサロンなどにお任せすることも視野にいれるといいでしょう。

 

ラサアプソの価格や迎え入れは?

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価格

子犬価格

  • およそ20万円

ラサアプソの子犬価格はおよそ20万円です。個体によってはそれ以上の価格が付く場合もあります。

迎え入れ

ラサアプソを迎え入れる場合は、「ブリーダー」「里親制度」を利用しましょう。

ペットショップではほとんど見かけません。

それぞれのメリットとデメリットを把握したうえで、自分に合った方法で迎え入れるようにしてくださいね。

ラサアプソの販売価格や餌代などは下記の記事を確認してください。

 

ラサアプソの食事は?

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ドッグフードをメインで与えたい場合は、「総合栄養食」と表示されているドッグフードを選びましょう。これは水と一緒に与えるだけで、健康が維持できるドッグフードのことです。選ぶ際は原材料を必ず確認しましょう。主原料が「肉類」であることが望ましいですよ。

手作り食をメインで与えたい場合は、「一般食」と表示されているドッグフードがおすすめです。いわば「おかず」のようなものであり、トッピングとして利用することで手軽に栄養を追加することができます。

食事量

普段与えているドッグフードの裏面に記載されている量をあげるようにします。

ただ、体重との換算表は、愛犬が「理想体型」であることを前提としているので、太っている子や痩せている子は量の調整が必要となります。

ごはんを食べない・・・どうすればいい?

ご飯を食べない場合はいくつかの理由があり、主に「好みの味ではない・食べにくい」「体調不良や季節による食欲の低下」「食器や環境が気に入らない」「ストレスが溜まっている」「病気」などが挙げられます。

この場合は、以下の方法を取り入れてみてくださいね。

トッピングをしてみる

まずはドッグフードにササミなどをトッピングして与えてみて、食欲が改善されるかを確認してみてください。新鮮な生肉を原材料に利用しているドッグフードに切り替えるのも手ですよ。

フードを食べやすくする

食べづらさが原因の場合は、飼い主さんがひと手間加えてあげましょう。ドライフードであれば、ぬるま湯でふやかして香りを立たせるのも手です。ニオイで食欲を刺激することができます。
また、粒が大きいようであれば砕いてあげるのもいいでしょう。ウェットタイプとドライタイプを組み合わせれば嗜好性が高まり、また水分も一緒に摂取することができます。

食器や環境を変える

食べやすい食器に変更したり、食事する場所を変えてみるといいかもしれません。ストレスを抱えている場合もあるので、遊びや散歩の時間を増やして発散させるのもいいですね。

動物病院で診てもらう

食べない原因が病気の可能性もあります。食べたくても、食べられないのかもしれません。「好きなおやつも食べない」「ぐったりしている」「元気がない」といった様子が見られるようであれば、かかりつけの動物病院で診てもらいましょう。

 

幸せを運んできてくれる犬

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ラサアプソは甘えん坊な面があるので、性格をよく理解してあげることで絆をさらに深められる犬種です。

体臭も少なく運動量も多くはないので、室内で飼育したい方や体力がない方でも飼育しやすいでしょう。

ただ、よく吠える犬種でもありますので、お住いの環境では吠え癖を付けないようしつける必要があります

しつけが難しい、不安だという方はプロに相談してみて下さいね。

「幸福をもたらす犬」と呼ばれているラサアプソと一緒に幸せな毎日を過ごしてくださいね。

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