オオコウモリの生態や餌、歴史、生息地、ペットとしての飼育方法

小笠原諸島や琉球列島に住んでいるオオコウモリは、私たちがときどき見かけるコウモリとは姿も生態も違います。

少し前までは一般のコウモリとは別の系統の動物とされていたほど未知な部分もあるため、研究がいまも続いています。

この記事では、現時点で判明しているオオコウモリの生態、歴史、生息地、そしてペットとしての飼育方法についてまとめました。

 

 

オオコウモリとは

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オオコウモリは世界最大級のコウモリです。

コウモリと聞くと手のひらより少し大きいくらいのサイズを想像しますが、オオコウモリは翼を広げた状態で1m程度、大きいものでは2m近いサイズのものもいます。ただオオコウモリにもいくつかの種類があり、20cmくらいの小さめのオオコウモリも存在しますよ。

 

オオコウモリの歴史

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スウェーデンの博物・生物・植物学者であるカール・フォン・リンネがオオコウモリの形態からコウモリを霊長類に分類。その後しばらく、コウモリとオオコウモリは別の種類の動物として分類されるようになりました。

1986年にはコウモリとオオコウモリの脳と視神経の接続の仕方が違うことから、コウモリはトガリネズミ目から、オオコウモリは霊長目から進化したものと提唱されていました。しかし2000年になって分子系統による研究でコウモリとオオコウモリは同じ祖先から進化したものと訂正されました。

 

オオコウモリとココウモリの違い

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コウモリの分類
オオコウモリ亜目大翼手亜目、オオコウモリ
コウモリ亜目小翼手亜目、ココウモリ

私たちが目にすることがある小型のコウモリは、音の反響によって周囲の状況を把握する「反響定位」によって飛行しています。そのため目は小さく、耳が大きく発達しています。

一方オオコウモリは、視覚に頼って飛行します。小型コウモリと違って目が大きく耳は小さく、一般的な哺乳類に近い顔つきとなっていますよ。

 

オオコウモリの特徴

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生息地(分布)

オオコウモリは鳥と同じレベルの飛行能力を持っていて、おもに世界各地の熱帯地域に生息しています。日本にも小笠原諸島と琉球列島に生息していることが確認されています。

とくに小笠原諸島に生息する「オガサワラオオコウモリ」は、近年200〜300頭ほどに減少しており絶滅の危機にさらされています。オガサワラオオコウモリの生息数を増やすべく、さまざまな研究と活動が行われていますよ。

 

分類

コウモリ目(翼手目)
亜目オオコウモリ亜目(大翼手目)
上科オオコウモリ上科
オオコウモリ科
亜科オオコウモリ亜科
シタナガフルーツコウモリ亜目

細分類ではオオコウモリ亜科とシタナガフルーツコウモリ亜目の2種に分かれるオオコウモリですが、日本に生息するオガサワラオオコウモリとオキナワオオコウモリはオオコウモリ亜科オオコウモリ属に分類されます。

 

形態

平均的なサイズ
体長80〜90cm
体重400〜550g

オオコウモリの全身は黒い毛で覆われていますが、一部に白銀の毛が混じり、腰にあたる部分には長い毛が生えています。

耳は小さく目が大きいため、見た目が可愛らしいとしてペットでの需要も増えてきています。オオコウモリは英名で「flying fox(空飛ぶキツネ)」とも呼ばれるほど、キツネに似た親しみやすい顔つきをしています。

 

生態

まだ未知の部分が多いオオコウモリですが、南硫黄島に生息するオオコウモリ以外は夜行性です。

冬季は集団で森林内に「ねぐら」を作り、ここで繁殖を行っているのではないかということが最近の研究で明らかになってきました。地上捕食者のいない島で進化を遂げてきたこともあって外敵に対する警戒心が低く、外来の地上捕食者に対して無防備であることも立証されています。

 

飛行方法

一般的なコウモリは視覚が発達しておらず、超音波を発信して獲物や障害物を確認する反響定位で飛行しています。しかしオオコウモリは視覚が発達しているため超音波は発信せず、目視で飛行します。

 

餌(食性)

オオコウモリは別名でフルーツオオコウモリとも呼ばれ、花の蜜や果実を主食としています。口に入れた花蜜や果実は水分だけを抽出して身体に吸収し、繊維質はペレットとして吐き出します。

一般的なコウモリ(ココウモリ類)は昆虫を主食とする肉食系ですが、オオコウモリは大きさや見た目に反して草食系なのですね。

 

オオコウモリはペットとして飼えるのか

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大きな目でキュートな顔立ちのオオコウモリをペットとして飼育することは可能ですが、取り扱っているペットショップは極端に少なく、入手は困難です。

またコウモリ類は海外からの輸入が禁止されています。国内で繁殖した場合のみペットショップで購入することができるので、飼育を考えている人はインターネットを利用して取り扱っているペットショップを探してみてくださいね。

 

オオコウモリの飼育方法

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飼育時の準備品

  • 高さのあるケージ
  • 爬虫類用ヒーター
  • 給水器
  • 餌入れ

準備に必要なもの

鳥と同じレベルの飛行能力を持っていることから、高さがあって広いケージを選ぶ必要があります。

野生のオオコウモリは熱帯地域に生息しているため寒さに弱く、冬など気温が下がる時期はヒーターを利用します。オオコウモリ専用のヒーターはないので、爬虫類用のヒーターを活用するといいですよ。

さらに給水器と餌を入れるケースを設置すれば準備万端です。

 

おもにリンゴ、バナナ、ミカン、マンゴーなどの甘い果実が好物で、酸味の強い果物は食べません。毎回同じものではなく違う果実を与えるようにし、栄養バランスを整えてあげたいですね。

与える頻度は朝と夕方の2回。運動量が多く食欲も旺盛なので、少し多めに用意します。餌として与える果物はときどき状態を確認し、痛み始めてきたら取り除いてください。

ペットショップなどにはオオコウモリ専用の餌は売っていません。果実をすりつぶしてできたインコなどの餌「ローリーネクター」、花蜜と花粉からできた「ビーポーレン」を栄養補助としてときどき与えます。

 

オオコウモリを飼う上で気をつけたい病気やケガ

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生き物ですので常に病気やケガのリスクは避けられません。もしものときのために必要な情報を収集し、オオコウモリについての理解を深めておくことが大切です。

 

病気

疾患尿路結石、肝疾患
原因栄養の偏り

専用の餌が開発されていないこともあり、飼い主が気をつけていないと栄養バランスを崩す可能性があります。好物の果実でも同じものを与え続けたりせず、そして定期的に栄養補助食を与えるなど、バランスを心がけた餌やりをしてあげてください。

 

ケガ

ケージ内で飼育していると、金網に挟まって翼の骨を折ったり脱臼したりする可能性も考えられます。

できることなら1日に1回はケージから出して自由に遊べる専用の部屋を用意してあげてください。家具や電子機器など障害物のない部屋が理想です。トイレなどのしつけはできないので、部屋に放つ時は排泄物が出る覚悟も必要です。

 

野生のオオコウモリを未来へ残すには

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小笠原諸島

各島の生息数(推定)
父島150頭以上
母島数頭
南硫黄島100頭以上
北硫黄島数十頭
硫黄島数頭

小笠原に生息するオオコウモリは小笠原諸島で唯一の固有哺乳類です。小笠原諸島全域に200〜300頭程度が生息していますが、各島の生息数を考えると絶滅が危惧されています。

果実や花蜜を好んで食すオオコウモリは、諸島内では固有植物の種子の運搬、花粉の媒介など自然再生のための大切な担い手です。まずは諸島内でもっとも多く生息している父島のオオコウモリの個体数を増やし、そこから他の小笠原諸島へ分散させる計画が持ち上がっています。

 

父島

諸島内ではもっとも多くのオオコウモリが生息する父島ですが、それでも冬季のねぐらとなる林がどんどん小さく分断化されつつあります。オオコウモリを未来に残すためには、繁殖に必要な冬のねぐらを確保できる森林と周辺の環境を減らさないようにするしかありません。

小笠原諸島では近年、鳥獣保護区を作るなどの活動が進んでいます。しかしオオコウモリのねぐら周辺には民家が建ち並び、住民の生活とオオコウモリの生息の両立を図らなければならない状況です。

住民の生活を守りつつオオコウモリの個体数を増やすためには、国をあげての取り組みが不可欠だといえます。

 

ペットとして迎える前に

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オオコウモリをペットとして飼育を考える場合、生態についての情報がまだ少なく健康維持のための知識が広まっていないこと、自然再生の役目を果たす固有種オガサワラオオコウモリは絶滅の危機にさらされていることなどを理解しなければなりません。

どんな生き物にもいえることですが、けっして軽率な気持ちでペットに迎えることだけはしないでくださいね。