アベニーパファーの特徴、飼いやすさ、飼育の準備や流れ、注意点は?

近年、ペットとしての人気が高まってきているアベニーパファー。

ずんぐりむっくりした姿が愛らしく、見ているだけで癒されますが、飼育する際にはそれなりの知識が必要となる熱帯魚でもあります。

この記事では、アベニーパファーの特徴や飼いやすさ、飼育の準備や流れ、注意点などをまとめました。

 

アベニーパファーとは

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アベニーパファーは純淡水で飼育できる世界最小のフグです。フグ目フグ科カリノテトラオドン属に分類されます。

アクアリウムの人気が高まっている近年、マンションやアパートなどの集合住宅でも飼育が可能なため注目を集めている小型熱帯魚です。

フグは海水魚で毒性が強いイメージがありますが、アベニーパファーはフグの中でも淡水に生息し、通常ペットとして流通されている個体には毒性がほぼありません。

小さくぷっくりした愛嬌のある姿が人気です。

 

アベニーパファーの歴史

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インド南西部原産のアベニーパファーは、ペットとしての歴史はまだ浅く、ここ最近急激にペット化が進みました。

2000年代にゲームセンターのクレーンゲームの景品として登場し、一気に知名度が上がりました。現在ではペットショップやホームセンターなどで簡単に入手することができます。

元々は同じフグ科でもミドリフグの人気が高かったのですが、海水と淡水が混ざった汽水に生息し、15cmほどに成長するミドリフグより、純淡水で飼育ができて小型のアベニーパファーの方が扱いやすいと注目されるようになりました。

 

アベニーパファーの特徴

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ここではアベニーパファーの生息地や形態、生態などの特徴を紹介します。

 

分布(生息域)

インド南西部のパンバ川を含む13の河川、河口の淡水域に生息しています。

 

形態

性別の特徴
オス 腹部以外に黒色のドット
メス 目の後ろに深い皺

成長しても2.5〜3cm程の世界最小サイズのフグです。

体型はフグ種特有のずんぐりむっくりとした丸味を帯び、黄色をベースに背側に深緑色から黒色の斑模様が入っているのが特徴です。

 

生態

アベニーパファーの生態

  • 縄張り意識が強い
  • 他魚のヒレをかじる

アベニーパファーは縄張り意識が強く、他魚の尾ヒレをかじる習性があります。

 

縄張り意識が強い

基本的に気性が荒いとされるフグ種の中では比較的おとなしい種類ですが、縄張り意識はとても強いです。

同種間でも縄張りを巡り、力の弱い方が死ぬまで激しいケンカを繰り広げることもあります。

複数飼いをする場合は、水草や土管などを利用してそれぞれのパーソナルスペースを区切ってあげることをおすすめします。

また複数を一緒に飼育し、縄張りを意識させない方法も有効です。

 

他魚のヒレをかじる

フグ種は目の前でひらひらとしているものをかじる習性があります。

グッピーや金魚などのように綺麗なヒレを持つ種類と混泳をさせると、ヒレをかじってボロボロにしてしまう恐れがあります。

 

価格

アベニーパファーは平均300円程度で購入することができます。

熱帯魚専門店以外にも、普通のペットショップやホームセンター、通信販売などでも手に入れることができます。

 

性格

あまり物怖じをすることなく、人懐っこい性格をしています。

慣れてくると、人が餌を与えようと水槽に近づくと水面にぷかぷかと上がって来るようになり、ピンセットから直接餌を与えることもできるようになります。

しかし環境の変化に弱く、ストレスを受けて餌を食べなくなるような繊細な一面も持ち合わせています。

 

毒性

ペットショップやホームセンターなどに流通している大半は養殖の個体のため、毒性はありません。

フグの保有する毒(テトロドトキシン)は、フグ自体が生成する毒ではありません。天然の細菌が作り出した毒を貝類や微生物が取り込み、それをフグが食べて毒を保有するとされます。

養殖の個体の場合、人工飼料やブラインシュリンプなどを餌として与えられることが多いため、毒性はないとされます。

しかし自然界に生息している個体は、何を餌としているかわからないためフグ毒を保有している可能性があります。毒の有無は未知数です。

購入の際は仕入れ元を確認するようにしてください。

 

食性

丈夫な歯と顎を持つアベニーパファーは肉食性で、小型の貝類を好んで食します。そのため水槽内に増殖した貝を除去するスネールイーターとして活躍し、貝の増殖を抑えることもできます。

人工飼料はあまり好まないようで、基本的には冷凍したアカムシ(ユスカリの幼虫)を食しますが、餌やりに手間がかかるうえ食べ残しも多いです。そのため水槽が汚れやすくなるので、こまめな水換えが必要です。

 

寿命

アベニーパファーの平均寿命は約3年です。一般的な熱帯魚と同じくらいの寿命です。

 

繁殖

繁殖の兆候
オス 腹部に婚姻色(通常とは異なる体色や斑紋)が出る
メス 腹部が膨らむ

繁殖は比較的簡単で、一般家庭でも繁殖させることが可能です。

適正な飼育環境下で、健康なオスとメスが揃っていればほぼ何もせずとも繁殖します。

ばらまき産卵で、5〜7日程度で孵化します。

産卵後に卵をそのままにしておくと、親が卵を捕食する可能性があるため、別容器に移すことをおすすめします。

 

アベニーパファーの飼いやすさ

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気性の荒いフグの中では比較的おとなしい種類ですが、かじる習性や攻撃性があります。

また人工飼料を食べない個体も多く、冷凍のアカムシを与える必要があったり、こまめな水換えが必要であったりと何かと手間がかかります。

初心者向けとされていますが、熱帯魚飼育の超初心者向けのグッピーやネオンテトラなどとは違い、飼育には色々と注意が必要です。

飼育を始める前に性質をしっかりと調べて、知識をつけておくことが大切です。

 

アベニーパファーを飼育するための準備

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飼育するために必要とされる器具

  • 水槽
  • 照明
  • ろ材
  • CO2強制添加器
  • 電磁弁
  • クーラー(冷却ファン)
  • ヒーター
  • 電源タイマー
  • 底床
  • カルキ抜き・水質調整剤
  • エアレーション
  • トリミングバサミ
  • ピンセット
  • 熱帯魚用の網
  • 水温計
  • 水質測定キット
  • 水換えポンプ
  • バケツ
  • コケ取り道具 など

大きく成長しても3cm程度の小型魚のため、小型の水槽でも飼育が可能です。水草や土管で落ち着いて体を休める場を設置しても泳ぐスペースに余裕のあるサイズが望ましいです。

しかし複数での飼育や他種との混泳を行う場合は、大きめの水槽を準備する必要があります。

また熱帯に生息する種のため寒さに弱い傾向にあるので、温度管理が重要となります。

 

水槽

水槽のメリット・デメリット
種類 メリット デメリット
ガラス ・比較的安価
・傷つきにくい
・アクリルより透明度が劣る
アクリル ・透明度が高い ・価格が高い
・使用年数とともに曇る

アベニーパファーの飼育にはガラス製の水槽がおすすめです。

ろ過フィルターの種類により、フレーム付きかフレームレスのものを選択します。上部式のフィルターを使用したい場合には、フレームが付いている水槽でないと設置できないので注意が必要です。

上部フィルターを使用しない場合は、鑑賞性的にフレームレスの水槽を選ぶことをおすすめします。

また混泳をさせる際には、最低でも45cm以上の水槽を用意することが望ましいです。アベニーパファー同士の混泳の場合は、45cmの水槽に5匹以内が目安となります。

 

水槽サイズ

初めて熱帯魚を飼育する際には、45cmか60cmの水槽がおすすめです。

60cmの水槽は水量も60Lと多いため、水質が悪くなる速度が遅く、水質維持をしやすいです。また最もポピュラーなサイズのため、周辺機器の種類も豊富でコストパフォーマンスに優れています。

60cm以上の水槽は初期投資や維持費が高く、比較的上級者向けのサイズになります。

アベニーパファーは性質上、基本的に1つの水槽に1匹の飼育が理想のため、水槽が大き過ぎるとスペースを持て余して寂しい雰囲気になります。45cm程度が調度良いサイズです。

 

水槽台

30cm以上の水槽を家具やラックの上に設置すると、重さに耐えきれない恐れがあるので、水槽台を準備することを推奨します。

水槽台以外に設置をする場合には、設置場所の耐荷重を忘れずに確認をしてください。

また90cm以上の大型の水槽になると、床自体が重さに耐えられない可能性もあるため、床の補強が必要になることもあります。

 

水槽マット

30cm以上の水槽を設置する際には、水槽と水槽台の間に水槽マットを敷きます。

硬い板の上に直接水槽を乗せると割れてしまう恐れがあるため、水槽の下にはマットを敷くようにしてくださいね。

 

比較的飼育しやすいといわれるアベニーパファーですが、餌付けにくさが飼育の際の課題です。

人工飼料に慣れにくいうえ、飼育環境によるストレスを受けやすく、拒食になる個体も多いです。生きたブラインドシュリンプや冷凍アカムシを好んで食す傾向にありますが、好き嫌いが激しく、それすら食べない場合もあります。

購入先でどのような餌を与えていたのかを聞き、徐々に人工飼料へ切り替えることが望ましいです。半生の餌は嗜好性が高いですが、水が汚れやすく栄養のバランスも偏ります。

また体が小さいため1回に食べられる量が少なく、消化不良を起こしやすいので複数回に分けて給餌する必要があります。量を調節して与え、食べ残しの餌はその都度取り除くようにしてください。

 

餌を食べない場合

どうしても餌を食べない場合は、巻貝を与えてみてください。アベニーパファーは自然界でも貝類を好んで食べます。

固い貝の殻をかじることで歯の伸びすぎを防ぐこともできます。

しかし人工飼料の食いつきが悪いからと貝のみを与え続けていると、貝しか食べなくなる恐れがあります。

また貝の繁殖力は強力なので、数を調整して入れないとあっという間に増殖するため、個体の状態と水槽のバランスを考慮して与えてください。

 

照明

水草の育成の有無で適する照明の種類が変わります。

 

水草を育成しない場合

水草を育成しない場合にも、LED(低価格帯)や蛍光灯を使用することをおすすめします。

室内の照明だけでは薄暗く水槽内が見えにくいため、水草がなくても照明を当てた方が水槽内をクリアに鑑賞することができます。

また照明のON/OFFで、アベニーパファーの体内時計の調整をすることが可能なため、健康にも良い影響を与えます。

どちらかといえば蛍光灯よりもLEDの方がデザイン性に優れ、光の強弱を変えることもできるので好ましいです。

 

水草を育成する場合

光量が必要な水草 高価格帯のLEDが必要
光量を必要としない水草 低価格帯のLEDでも問題ない

水草を育成する場合は、LED(高価格帯)や蛍光灯がおすすめです。

以前はLEDでは水草が育成しづらいというイメージがありましたが、近年はLEDでの育成実績も豊富で、専門ショップでもLEDで水草を育成しているところも多いです。

しかしLEDでも水草の育成に向き不向きがあるので、購入の際には確認が必要です。水草の育成に向いているLEDは比較的高価格です。

またLEDは蛍光灯に比べて電気代も節約できます。

 

ろ材

ろ材の種類
生物ろ材 水を綺麗にするバクテリアの住処になり、水中の亜硝酸やアンモニアなどの有害物質を分解する。
物理ろ材 水草や糞、食べかすなど水中のゴミを取り除きます。生物ろ材に汚れを溜めないようにするためにも必要です。
化学ろ材 活性炭が黄ばみや臭いを取り除きます。通常は水質が不安定な初期に使用する場合が多いです。

ろ材には大きく分けて上記の3種類があります。

一番大きな役割を果たすのは生物ろ材で、物理ろ材と化学ろ材は補助的に使用をします。

フィルターのタイプにあったろ材を購入するようにしてくださいね。

 

CO2強制添加器

水草を育成する場合に、より綺麗に育てることを目的に水中にCO2を添加する装置です。

そのため水草の育成を行わない場合や、育成が簡単な水草の場合は設置不要です。

また水草を育成する場合でも必ずしも必要ではないため、育成する水草の種類を調べて検討してください。

 

電磁弁

CO2添加装置をタイマーでON/OFFできる装置です。CO2添加装置を使用しない場合には必要ありません。

 

クーラー(冷却ファン)

アベニーパファーの適正水温は一般的な熱帯魚同様に約22〜28℃前後です。

夏場は水温が上がるため、適正水温を保つために必要となります。

 

ヒーター

クーラー(冷却ファン)同様、冬場に約22〜28℃の適正水温を保つために必要となります。

 

電源タイマー

タイマーで照明や保温装置の電源をON/OFFするための装置です。

決まった時間に照明が入ったり消えたりすることで、生活のリズムを調整できるため便利です。

 

底床

水草の育成をする際には、栄養素を含む栄養素系ソイルや吸着系ソイルの使用してください。

また底面式のフィルターを使用する場合は、吸着系ソイルか大磯砂が適しています。

水草を育成しない場合には、砂・砂利、溶岩石、セラミックなどの栄養素が含まれていない底床で問題ありません。

底床のデメリットは、水槽の掃除がしにくくなる点が挙げられます。

 

カルキ抜き・水質調整剤

熱帯魚を飼育する際には、水道水に含まれている塩素や重金属を除去する必要があります。

規定量のカルキ剤を水の中に入れて中和させます。

 

エアレーション

エアレーションは、投げ込み式フィルター、底面式フィルター、スポンジフィルターを使用する際にそれらとセットで使用します。

水中内の酸素量を保つために必要となります。

 

トリミングバサミ

水草のトリミングに使用します。水草を育成しない場合には必要ありません。

 

ピンセット

アカムシやイトメなどの冷凍の餌を与える際に使用します。

 

熱帯魚用の網

水換えや水槽を掃除する際のアベニーパファーの移動に使用します。

 

水温計

適正水温を保つことは生命維持のため大切になります。水温計を使用し、適正水温約22〜28℃を保つようにしてください。

 

水質測定キット

立ち上げの際は特に水質に気を配る必要があります。

アンモニアや硝酸、亜硝酸の濃度をしっかりと測定し、安定した水質を保つことが重要です。

 

水換えポンプ

水換えをする際に水槽の水を排水するために必要となります。

 

バケツ

水換えの際に汲み上げた水を入れたり、アベニーパファーを一時的に避難させたりする場所としても使用します。

 

コケ取り道具

水槽に発生したコケを取り除くためにメラミンスポンジのような掃除用具を準備します。鑑賞性を保つためにもコケ掃除は必要です。

 

アベニーパファーを飼う上で知っておくこと

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ここではアベニーパファーを飼育するうえで知っておく必要のある「混泳」「水槽適正水温」「適正ph」を紹介します。

 

混泳

縄張り意識が強いため、同種間でも激しい縄張り争いを行います。どちらかといえば混泳には向いておらず、1つの水槽に1匹の単独飼育が理想とされます。

混泳をさせたい場合は、縄張りを意識させないためにも同種同士を少なくとも3匹以上で飼育することが望ましいです。体が小さく弱い個体は攻撃されやすいため、同じくらいのサイズを選んでください。

他種と混泳させる場合は、遊泳性が高くヒレが短い種類や、コリドラスやプレコなどアベニーパファーとは遊泳層が異なる低棲魚が適しています。

グッピーやプラティーなど尾ヒレが長い種類と混泳をさせると、ひらひらしている尾ヒレをかじる可能性があります。かじられた尾ヒレから菌に感染し、最悪死んでしまうこともあります。

 

水槽適正水温

適正水温

  • 約22〜28℃

アベニーパファーの飼育に適した水温は、一般の熱帯魚と同様に約22〜28℃です。

夏場はクーラー(冷却ファン)、冬場はヒーターを用いて適正水温を保つ必要があります。

 

適正ph

適正ph

  • 弱酸性〜弱アルカリ性

アベニーパファーは水道水に水質調整剤を入れて中和した水で飼育します。

日本の水道水の水質は中性〜弱アルカリ性ですが、飼育をしていくうちに排泄物などで弱酸性に傾きます。

また水草を生育している場合、CO2添加装置やソイルを使用することでも弱酸性に傾きます。

ろ過フィルターに使用するろ材の中には、ph値を変動させるものもあります。

 

アベニーパファーを水槽に導入するまでの流れ

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アベニーパファーを水槽に入れるまでの工程を紹介します。

 

水槽器具を購入する

上項で紹介した飼育に必要な器具を準備します。

 

水槽器具の設置する

購入した器具を設置します。水槽を設置する際には「重さに耐えられるか」「電源が側にあるか」「水道に近いか」などの条件を考慮して場所を決めてください。

 

水槽に底床を入れる

水槽内に底床やアクセサリーを設置します。

 

水槽にカルキ抜きした水を入れる

水道水に水質調整剤を入れてカルキを抜いた水を投入します。

 

生体を迎えるための状態にする

ろ過フィルターを作動させて水槽内の水を循環させます。この時点ではまだアベニーパファーは入れないでください。

1〜2日水のみを循環させて生体を迎え入れる準備をします。

 

アベニーパファーを水槽の水に慣らす

迎え入れる準備ができたら、水槽内にアベニーパファーを入れます。その際に「水合わせ」を行うことが重要となります。いきなり新しい環境(水質)に放り込まれると、ダメージを受けてショックを起こす恐れがあります。

ショップで過ごしていた水質との環境差をできる限り与えないように、ショップから譲り受けた水と新しい水を少しずつ入れ換えていきます。

水合わせが終わったらいよいよ水槽へアベニーパファーを離します。この際、一気に複数の生体を入れるとろ過が間に合わず水質を悪化させてしまうため、段階を踏んで入れるようにしてください。

 

アベニーパファーの水槽サイズ別『ろ過装置・フィルター』の選び方

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水槽用フィルターの種類

  • 外部式フィルター
  • 上部式フィルター
  • 底面式フィルター
  • 外掛け式フィルター
  • 投げ込み式フィルター
  • スポンジフィルター など

水槽用のフィルターには様々な形状があります。水槽の大きさや目的により選択するフィルターが変わります。

 

水槽サイズが30cm以下(小型水槽)の場合

30cm以下の水槽におすすめフィルター

  • 外掛け式フィルター
  • 投げ込み式フィルター
  • 底面式フィルター
  • スポンジフィルター

水槽のサイズが30cm以下の場合は「外掛け式フィルター」「投げ込み式フィルター」「底面式フィルター」「スポンジフィルター」の4つが候補になります。

 

外掛け式フィルター

簡単に設置をすることができ、汎用性の高いフィルターです。コンパクトなものが多く場所を取りません。また外部式や上部式に比べて本体の価格は安いです。

しかしろ材の定期的な交換が必要なため、維持費がかかります。また水流が強いため、泳ぎが苦手なアベニーパファーには適さない場合もあるため注意が必要です。

 

投げ込み式フィルター

生体がメインの水槽に向いています。低価格で手に入れることができ、水槽内に設置するタイプのため水槽の外にフィルターを置くスペースが必要ありません。

エアレーションとセットになっているため、作動音が気になります。また水槽内に設置することで鑑賞性を損なう場合もあります。

ろ過力が低く、60cm程度の水槽がカバーの限界です。

 

底面式フィルター

フィルターを水槽の底に置き、その上に底床材を敷いて使用するためろ過力が非常に高いです。

しかし水草を育成する際に用いられることの多い底床材のソイルとの相性が良くないので、注意が必要です。ソイルの粒子がフィルターの隙間に入り込んで、フィルターとしての機能を停止させる恐れがあります。底床材は細かすぎない細目(小粒)の砂利が適しています。

底面式フィルターは底床材を敷かないベアタンクには使用できません。

また使用にはエアーホンプが必要です。フィルターとセットになっていれば問題ありませんが、なっていなければ別途購入してください。

 

スポンジフィルター

安価で手に入れることができますが、エアーポンプとつなぐか外部式フィルターが別途必要となります。

目が細かいため、稚魚を吸い込む心配がありません。エアーポンプとつないで使用する場合にはエアレーションの働きも期待できます。

 

どのフィルターが良いか

基本的には汎用性のある外掛けフィルターを選ぶことをおすすめします。

ろ過力が高いものが良い、安価で設置が簡単なものが良いなど具体的な希望があればそれにあったフィルターを選ぶと良いですね。

 

水槽サイズが45cm以上の場合<水草は育成しない>

45cm以上で水草なしの水槽におすすめフィルター

  • 上部式フィルター
  • 外部式フィルター
  • 底面式フィルター
  • 投げ込み式フィルター

水槽のサイズが45cm以上で水草を育成しない場合には「上部式フィルター」「外部式フィルター」「底面式フィルター」「投げ込みフィルター」の4つが候補となります。

 

上部式フィルター

フレームの付いている水槽で使用できます。酸素を取り込みやすく、ろ過力も高いため、生体の飼育に適しています。メンテナンスも比較的楽に行えます。

上部が覆われるので照明を取り付けることができず、光量が少なく水草の生育には不向きです。

また落水音がうるさい、フレームレスの水槽に取り付けられない、見栄えが良くないなどのデメリットが挙げられます。

 

外部式フィルター

種類が豊富なフィルターの中で最も汎用性のあるフィルターです。水槽の外に設置し、給水・排水パイプを用いて水を循環してろ過します。

密閉構造のためCO2を逃しにくく、水草の育成に優れた力を発揮します。ろ過槽の中に複数のろ材を組み合わせて使用することができるため、ろ過能力に長けています。

静音性もあり寝室においても気になりません。

しかしほかのフィルターより値段が高く、設置スペースの確保も必要です。

 

水槽サイズが45cm以上の場合<水草は育成する>

45cm以上で水草をありの水槽におすすめのフィルター

  • 外部式フィルター

水槽のサイズが45cm以上で水草を育成する場合には「外部式フィルター」がおすすめです。

CO2を逃しにくく、水槽内は給水・排水用のパイプのみの設置で済むためレイアウトを邪魔せず、水草の育成に適しているフィルターです。

 

アベニーパファーと他魚の混泳相性

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上項でも紹介した通り、アベニーパファーは基本は1つの水槽に1匹で飼育することが理想です。

もし混泳をさせる場合は、相手の性質を確認することが大切です。ここでは、他種とアベニーパファーとの混泳の相性を紹介します。

アベニーパファーとの混泳の相性
水草 水草の育成は可能です。しかし柔らかい種類の水草は食べられてしまう可能性があります。
メダカ 群れで生活をするメダカは穏やかな性格をしています。混泳させることも可能ですが、縄張り意識の高いアベニーパファーがメダカをいじめる可能性があります。
カラシン/
オトシン
メダカ同様、温和な性格の個体が多いカラシンやオトシンも混泳させることは可能ですが、縄張り意識の高いアベニーパファーからいじめられる可能性があります。
コリドラス/
ローチ
コリドラスやローチは低棲魚のため、中〜上層を泳ぐアベニーパファーとは遊泳層が違います。混泳させることも可能ですが、2種とも温和な性格をしているため攻撃を受ける恐れがあります。
プレコ 小型のプレコは低層を遊泳するため遊泳層の異なるアベニーパファーと混泳させることは可能ですが、攻撃される可能性もあります。また中〜大型のプレコの中には攻撃性の高い種類もいるためアベニーパファーとの混泳には向いていません。
× 金魚 金魚は口に入るサイズのものを飲み込むことがあり、小型のアベニーパファーとの混泳には向いていません。アベニーパファーを飲み込んだ金魚自体も消化不良を起こす危険があります。
グッピー グッピーのひらひらしているヒレをアベニーパファーがかじる恐れがあります。またグッピーは泳ぎが得意ではないため、アベニーパファーの攻撃を避けきれない可能性があるので混泳は避けてください。
ベタ オスのベタは攻撃性が非常に高いため混泳に向いていません。
エンゼルフィッシュ アベニーパファーは小型魚のため、エンゼルフィッシュから食べられる恐れがあります。またエンゼルフィッシュは繁殖期になると攻撃性が高くなり、その攻撃を避けることができない可能性があるので混泳は避けてください。
ディスカス アベニーパファーは小型魚のため、食べられる恐れがあります。またディスカスは縄張り意識が強く、激しい争いを仕掛けてくることがあるため混泳は避けてください。
大型魚 アベニーパファーが捕食の対象となるため混泳は避けてください。
エビ/
シュリンプ
エビはアベニーパファーの好物で餌であるため混泳させることはできません。

 

アベニーパファーを飼う上でかかりやすい病気

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かかりやすい病気

  • 白点病
  • 拒食
  • 消化不良

アベニーパファーは水質に慣れてしまえば、丈夫で病気にもかかりにくいとされます。

しかし体が小さいため、一度病気を患うと回復までに時間を要します。最悪の場合、回復せずにそのまま死を迎えるケースもあります。

定期的に水換えを行ったり、日頃からしっかりと様子を観察して健康状態を確認したりすることが大切です。いつもとは違う行動や気になる症状が見られた場合は、できるだけ早く専門家に相談してください。

 

白点病

白点病とは、繊毛虫(せんもうちゅう)の一種であるウオノカイセンチュの寄生により発症します。全身に白い点が現れる病気です。

感染初期は肉眼で白点を確認できないことが多いです。痒みを感じて水槽の壁や底に体を擦り付ける仕草を見せます。感染力が強いため複数飼育をしている場合は、疑わしい個体を発見したらすぐに隔離することが重要です。

病気が進行すると食欲減退や呼吸が荒くなるなどの症状が見られ、最終的に全身が白濁してボロボロの状態になり死に至る可能性もあります。

ウオノカイセンチュは15〜25℃程度の水温を好むため、アベニーパファーが耐えられる程度(28℃くらい)まで水温をあげることおすすめします。そのほか、専用の薬剤を使用した薬浴も有効です。

また水質の悪化や混泳によるストレスが原因で免疫が低下し、普段体の中にいる白点虫が活発化して発症する場合もあります。できるだけストレスを与えない環境作りが大切になります。

 

拒食

アベニーパファーの飼育で頭を悩ませられる問題の一つが拒食です。餌を選り好みしたり、ストレスが原因で餌を食べられなくなったりします。

拒食が長く続くと体が弱りやがて餓死する恐れもあるため、早急に原因突き止めて、餌や飼育環境の見直しを行うことが必要です。

また見落としてしまいがちですが、歯の伸びすぎが原因で口が思うように開けられず、餌を食べられなくなっている可能性もあります。

水槽内に岩や流木などの固いものを設置しておくと、それらをかじりながら歯を削ってくれますよ。

 

消化不良

アベニーパファーは体が小さいため、一度に多くの餌を消化することができません。

お腹が膨張していたり、苦しそうに口をぱくぱくしていたり、糞に白いものが混じっていたりした際は、消化不良を起こしている可能性が高いです。

腹部の膨張がおさまるまで休餌し、胃腸を休めるようにしてください。

 

飼育前にしっかりと知識をつけることが大切

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熱帯魚初心者にもおすすめされることの多いアベニーパファーですが、よく調べてみると注意すべき点が多々あり、飼育するにはそれなりの知識を要することがわかりました。

飼育をする前に性質をしっかりと調べ、準備を整えてから迎え入れることが大切です。

愛らしい容姿や、人懐きをしやすい性格などアベニーパファーの魅力は多くあります。知識をつけて、アベニーパファーとのペットライフを楽しんでくださいね。