ヨウムの特徴や歴史、種類、餌、寿命、値段、飼育の方法や注意点

みなさんはヨウムという鳥をご存知でしょうか。

オウムと聞き間違えられることも多いですが、小柄で性格もおとなしく高いコミュニケーション能力を持ち合わせている鳥です。近年、日本でもペットとして注目が高まっていますよ。

この記事ではヨウムの生態をもっとよく知っていただくため、特徴や種類、寿命、値段、飼育方法、注意点についてまとめました。

 

ヨウムとは

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ヨウムは、セキセイインコと同じオウム目インコ科に分類される鳥です。

オウムの仲間は体の特徴によってオウム科とインコ科のふたつに分けられ、冠羽という頭部の飾りがあるものがオウム科、冠羽のないものがインコ科となります。

ヨウムはおしゃべりをするオウムの種類中でも、複雑なコミュニケーションがとれるという点で多くの愛好家を虜にしています。コンパニオンバードのなかでも、世界的に人気の高い鳥だといえますよ。

 

ヨウムの歴史

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日本ではまだまだ馴染みの少ないヨウムですが、ヨーロッパでは長きにわたりペットとして愛されてきました。

古くは4000年前のエジプトの象形文字として使われ、古代ギリシャの貴族や17世紀のイギリス国王チャールズ2世の愛人だったフランセス・スチュアートも飼っていたほどなのです。

 

ヨウムの特徴

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分布

低湿地から高地まで、広い範囲の森林に生息しています。

多くはアフリカ西海岸の森林地帯、なかでもガーナからビクトリア湖周辺、ケニア、タンザニア、アンゴラ共和国からコンゴ民主共和国のあたりに分布しています。

 

大きさ

ヨウムの大きさ

  • 体長:30cm前後
  • 体重:300〜500g程度

生息地や種類、性別によって個体差はありますが、とくにコンゴ民主共和国に生息しているヨウムは大型である傾向にあります。

 

毛色

身体の大半は灰色の羽毛で覆われていますが、風切り羽根は黒、尾羽は赤いのが特徴です。

顔は白く、羽毛はありません。黒いくちばしを持ち、目は黒い瞳と淡黄色の虹彩となっています。

幼鳥時代の虹彩は黒く、舌の色は肌色となっています。

 

性別

メスは頭が丸くて小さく、くちばしもオスより小さい傾向にあります。首も細いのが特徴です。そして1歳半を過ぎた頃には、肛門に近い側の尾羽の先端に灰色の縁取りが見られるようになります。

オスは目がメスよりも丸く、尾羽の先端に縁取りはありません。赤いままか、または白いラインが入ります。

幼鳥期ではこれらの違いが出ないため、外見からの性別の判断は難しいといえます。

 

生態

ヨウムの平均体温は約40度で体温が高めです。

高温湿地帯に生息するヨウムは水浴びが大好きなので、水圧を低くしたシャワーや霧吹きなどで水をかけてあげると喜びますよ。

ただ、ヨウムの羽毛には水をはじく脂が分泌されているので、お湯をかけると脂が流れてしまいます。羽の撥水効果がなくなってしまうので、たとえぬるくてもお湯は使わないようにしてくださいね。

 

性格

ヨウムの特別な性格

  • 雄叫びをしない
  • 反抗期がある
  • 繊細で神経質
  • 自己主張が強い

愛情深くパートナーと認めた相手にはよく懐くという点については多くのオウムや大型インコと同じですが、ヨウムには仲間と違う特別な一面もあります。

オウムや大型インコのような雄叫びはせず、成長の過程において「2度の反抗期(幼鳥換羽が済んだあとの1歳半~2歳前後&個体によって異なる2回め)」があります。

反抗期という人間らしい一面がある反面、とても繊細で神経質な性格です。飼い主さんとしては冗談やからかいのつもりであっても、怖がらせるようなことをしてはいけません。またイタズラをしたからといって叱りつけるのもNGですよ。

また、仲間うちでもっとも自己主張の強い鳥ともいえるので、パートナーとして気遣いながら穏やかに過ごせるよう心がけてくださいね。

 

知能

ヨウムは知能がとても高いことも知られています。人間の5歳児並みの知能を持つという研究結果があるほどですよ。

電話の音、サイレン、スマートフォンの電子音などのモノマネは言うまでもなく、意味を理解したうえでの会話ができてしまいます。

アメリカのアイリーン・ペッパーバーグ博士は、アレックスと名付けたヨウムの言語能力についてさまざまな研究を重ねました。その結果、50種類もの個体と7つの色、5つの形を認識し、数を6つまで数えることができました。抽象的な言葉の意味を理解し、博士との会話をしたという記録も残っています。

 

鳴き声

おとなしい性格のヨウムですが、鳴き声まで小さいわけではありません。

同等以上の体格のオウムやインコよりは小さな鳴き声ですが、ストレスが溜まったときに「ピーピー」「ピヨッピヨッ」と鳴く呼び鳴き(寂しい時に仲間や飼い主さんを呼ぶ鳴き声のこと)の声が結構大きいです。

数値で表すと80dBほどでピアノの音と同じくらいの音量なので、集合住宅では防音対策が必須の条件となります。

 

野生のヨウムは、種子や果実を食べます。とくにアブラヤシの実などが好物です。ペットとして飼育する場合は、これに準じた市販のものを与えます。

 

寿命

ヨウムの平均寿命は50年前後です。一般的なペットの寿命から考えるとかなりの長生きですので、飼育するならそれなりの覚悟を持って迎えなければなりません。

一般的にも年老いた前の飼い主さんから譲り受けたり、2代目、3代目と飼い主さんが代替わりするケースが珍しくありません。

 

ヨウムの種類

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ヨウムは大きく3種類に分けられます。厳密にはもっと細かく分類されますが、この項目では3つの種名と見分け方について説明します。

 

ノーマルとコンゴヨウム

毛色などでの違いはなく、とてもよく似ています。強いていえば体格が大きいほうがコンゴヨウムとなります。この2種はペットショップなどでもとくに区分けがされておらず、大柄ならコンゴヨウムの可能性が高いという判断となります。

 

コイネズミヨウム

やや小柄で暗赤色の尾羽を持ち、上くちばしが淡い褐色となっています。ノーマルやコンゴヨウムはくちばしが黒いので、簡単に見分けることができます。実際、ペットショップでもノーマル・コンゴヨウムとは区別して販売されています。

野生ではノーマルの生息地よりも西のほうに分布しており、性格はノーマルよりも活動的です。

 

ヨウムはペットとして飼えるのか

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2016年に開催されたワシントン条約の第17会締約会議において、ヨウムの野生個体の商業取引が全面的に禁止されました。

海外からのペットとしての輸入ができなくなったことで動物園での飼育や学術研究のための輸入のみが認可、コンパニオンバード・ペットとして飼育できるのは国内で繁殖された個体か国の登録証を持つ個体のみとなります。

つまり、以前から飼っていた人であっても、環境省への国際希少種登録を済まさなければ継続飼育は不可能なのです。

 

飼えなくなった場合

ヨウムの平均寿命は約50年なので、飼い主さんの体力の衰えや住環境の変化などによって飼育を継続できなくなることも考えられます。

世界規準によってヨウムの取り扱いが厳しくなったことで、所有権の移動についても国への申請が必要となりました。それにはまず、以下の書類を確認します。

国への登録申請に必要な書類

  • 購入時のレシート
  • 繁殖証明書

ペットショップで購入したときのレシートまたは領収書を持って、購入時のペットショップに繁殖証明書の取得申請を行います。

証明書が届いたら国に登録申請を行います。国から発行される登録証がない場合は、動物園や環境大臣の認可を得た特殊な期間にしか所有権の移動はできません。業者間、個人間での移動は不可能なのです。

2016年6月、登録証のない個体を売買したとして、店側も購入者も逮捕される事件が実際に起きているので注意してくださいね。

 

ヨウムの価格

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ノーマルヨウム23万〜30万円程度
コンゴヨウム
コイネズミヨウム28万〜33万円程度

ペットショップや個体、また個体の年齢によっても違いはありますが、およその参考値としてしてください。

近年では個体数が減少していることに加え、2016年のワシントン条約でペットとしての輸入・輸出が制限されたため価格が高騰しています。上昇傾向は、今後も続くものとみられていますよ。

 

ヨウムを飼うための準備

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準備するもの

  • ケージ
  • 基本グッズ
  • おもちゃ

 

ケージ

飼育するためにまず必要なものといえばケージです。

羽を広げることができて動きまわれる程度の大きさは必要ですが、ケージの中で飛びまわるわけではないのでヨウムの身体の大きさの1.5〜2倍程度の容量があれば十分です。約45〜60cm四方の四角形タイプで、くちばしや爪で傷をつけても安心なように塗装のないものがおすすめですよ。価格は8000〜2万円程度で購入可能です。

設置場所

飼い主さんと長い時間を共有できるリビングの壁際がベストです。

ただ、ケージに入れっぱなしにするのではなく毎日放鳥する必要があるので、放鳥するためのスペースを考えておくようにしてください。

放鳥しないと運動不足になり、ストレスも溜まってしまいます。大きな鳥なので、家具が傷ついたり小物が落ちたりしないスペースを確保してあげてくださいね。また、ヨウムからはたくさんの脂粉が出るので、ケージ内を清潔に保つことも覚えておいてくださいね。

 

基本グッズ

ケージ内にはヨウムが快適に過ごせるようなグッズを用意しておきます。

用意すべき基本グッズ

  • 止まり木
  • 餌入れ
  • 水入れ

止まり木は、自然木を数本入れるようにします。それぞれ形の違うものを選ぶと脚の健康にも役立ちますよ。

餌入れと水入れは、別売されている丈夫なものがいいですね。ヨウムが強い力でつついたりしても割れたり、落下したり、ひっくり返ることがないようステンレス製のホルダー付きをおすすめします。そのほか、副食入れ、野菜入れがあるとより理想的です。

 

おもちゃ

ヨウムだけでなく、鳥をペットとして飼育するにはおもちゃは欠かせません。

ヨウムは特に知能が高い鳥なので、さまざまなおもちゃで好奇心を満たしてあげると喜びますよ。

おすすめのおもちゃ

  • 穴が空いたボールタイプ
  • 太いロープタイプ
  • 木製のブロックタイプ

穴が空いたボールタイプのおもちゃには、なかに紙くずやおやつを入れておくと頭を使ってそれを取り出そうと試みるので脳の活性化に役立ちます。ロープや木製のブロックタイプのおもちゃは、かじって遊びながらストレスを発散します。

 

基本的には市販されているペレット(ドライの固形の餌)を主食として与えますが、栄養のバランスを考えていろいろな副食を用意してあげるといいですよ。

ただ、グルメで好き嫌いがはっきりしている個体も多いので、数種類の食べ物を与えながらどんな食べ物が好みなのか把握していくといいですね。

ヨウムの好きな副食
緑黄色野菜、ボレー粉、果物、シード類

野菜は青菜、人参、かぼちゃ、果物はりんご、みかん、いちご、バナナ、キウイなどを好んで食べます。シード類も大好物でヒマワリの種などはおすすめですが、高カロリーのため食べ過ぎると肥満や病気が心配されます。おやつとしてたまに与える程度がベストですよ。

また健康体を維持するため、次の栄養素の補給にも配慮してください。

不足しがちになる栄養素
ビタミンD3、ビタミンA、カルシウム

ヨウムはビタミンD3欠乏症になりやすい鳥です。

しかしビタミンD3は食事からではなく日光浴によって摂取するものなので、「ケージを日のあたる場所へ置く」「放鳥を太陽光の当たる部屋で行う」など工夫をしてあげてくださいね。

ビタミンAとカルシウムは食事から摂取しますが、ビタミンAが不足すると赤い尾羽が色あせてくることもありますよ。

 

健康に有害な食物

有害とされる食材
チョコレート、アボカド、カフェイン、アルコール、
りんごの種、一部のきのこ、たまねぎ

現在のところ、ヨウムの健康に有害となる食べ物として上記の食材が知られています。

今後、研究によってこれ以外にも有害な食材が発見される可能性もあるので、最新の情報をチェックしておくことも大切ですよ。

 

ヨウムを飼育するときの注意点

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飼育時に注意するべきこと

  • 日光浴をさせる
  • 運動不足に気をつける
  • 反抗期がある
  • その他

ヨウムは他のオウムやインコに比べておとなしい性格ですが、鳴き声は大きく気持ちが高ぶって暴れた時は爪やくちばしで怪我をすることもあります。

神経質な一面も持っているので、ストレスをためやすく「毛引き症」などに患うことも考えられます。寿命も約50年と長いので、ヨウムとの付き合いは一生といっても間違いではありません。

飼育を検討する場合は、「飼育は簡単ではない」「長期にわたって生活を共にする」ということを忘れないでおいてください。

飼育にあたっての注意点を以下の項目で紹介します。

 

日光浴をさせる

ヨウムには毎日2時間以上の日光浴が必要です。

日光浴をしないとビタミンD3欠乏症となり、最悪のケースでは死に至ることもあります。「日当たりのいい場所へのケージ移動」や「日光浴用のライトの準備」の対策も施してあげてくださいね。

 

運動不足に気をつける

身体の大きいヨウムは、ケージに入れっぱなしにしたままだと運動不足になってしまいます。

毎日1時間以上の放鳥を心がけるといいですよ。自由に身体を動かす時間を作ってあげることがストレス解消にも繋がるからです。ただ、放鳥に際してはスペース内に壊されたくないものはないか、ヨウムにとって危険なものはないかを確認することが大切です。

 

反抗期がある

ヨウムには一生涯に2度の反抗期があり、1回の反抗期は1ヶ月〜数ヶ月続くこともあります。

「いきなり怒り出す」「強い力で噛みつく」「ケージに入らない」など指示を無視するといった攻撃的な性格になりますが、しつけや環境を変えても治まるものではありません。

生理現象の一つなので、反抗期が終わるまで根気よく待ってあげてくださいね。

 

その他

野生のヨウムは、60〜80%の高湿度の環境下で生活しています。

適温は20〜30℃とされているので、飼育し始めて最初の真冬・真夏の環境管理は特に注意が必要ですよ。また、ヨウムは大量の脂粉を出すので、ケージや放鳥スペース内の掃除のほか通気や換気にも配慮が欠かせません。

 

ヨウムがかかりやすい病気

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かかりやすい病気

  • 毛引き症
  • ビタミンD・Ca欠乏症
  • ウイルス性羽毛疾患
  • クラミジア感染症(オウム病)
  • 胃腸炎

とくに気をつけたい5つの病気の原因、症状、予防法について紹介します。

 

毛引き症

原因主にストレス、皮膚の乾燥、栄養不良
症状羽をつついて抜く
予防ストレスの原因を取り除く

羽が抜けて毛がなくなっても突き続けるため、出血することもある毛引き症。ストレスの原因である環境を整えなおし、栄養のある食事を与えてください。

 

ビタミンD・Ca欠乏症

原因ビタミンD、Caの不足・吸収不良
症状ふるえ、脚弱
予防栄養のある食事、日光浴

普段の食事からくる栄養分の不足に加え、過剰放出によるものも考えられます。症状が進行すると骨折を引き起こす危険があります。主食のペレットの栄養分を見直す、副食を充実させて足りない栄養分を補ってあげるなどしてください。

 

ウイルス性羽毛疾患

原因PBFDウイルスなどによる感染
症状羽の変形・脱毛
予防感染した個体との接触を避ける

PBFDは、オウム目すべての鳥を冒すウイルス。症状としては他に、目とくちばしに異常が出るケースもあります。感染の原因から遠ざけ、栄養のある食事を与えてください。

 

クラミジア感染症(オウム病)

原因オウム病クラミジアによる感染
症状食欲不振、下痢、鼻炎
予防抗生物質の投与

ヨウムだけでなく、排泄物や噛まれたことが原因で人間にも感染する可能性があります。生活の場を清潔に保ち、定期的な健康診断を続けてください。

 

胃腸炎

原因微生物感染、ストレス
症状食欲不振、下痢
予防傷んだ食事や水を与えない

病原性の微生物から感染するケースが多く、水を多く飲むなどの症状も出ます。とくに夏場など、餌や水への配慮が必要です。