猫白血病ウイルス(FeLV)感染症とは?症状や検査方法、治療法、予防策

「猫白血病ウイルス(FeLV)感染症」という病気が存在します。血液細胞に異常が生じるウイルス性の感染症で、ネコ科動物特有の病気です。

「白血病」と聞くととても重篤な症状が出る病気のイメージがありますが、猫白血病ウイルス(FeLV)感染症とはどのような疾患でしょうか。

この記事では、猫白血病ウイルス(FeLV)感染症とは何か、症状や検査方法、治療法、予防策などをまとめました。

 

猫白血病ウイルス(FeLV)感染症とは

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猫白血病ウイルス(FeLV)感染症とは、どのような病気なのでしょうか。まずはじめにそのメカニズムを紹介します。

 

正常な体のメカニズム

酸素や二酸化酸素を運ぶ「赤血球」や身体を異物から守ってくれる「白血球」は、猫が生きる上で必要不可欠な血液細胞です。

血液細胞は骨の中にある「骨髄」で生成されます。その骨髄には血液細胞の元となる細胞(造血幹細胞)があります。

血液細胞の数を増やしたい場合は、骨髄が造血幹細胞に働きかけることにより白血球や赤血球の生成を増やします。

 

猫白血病ウイルス(FeLV)が骨髄に悪影響を及ぼす

猫白血病ウイルス(FeLV)は骨髄へ悪影響を与えます。

骨髄は、日々身体が必要とする血液細胞を適正数製造しています。しかし猫白血病ウイルス(FeLV)に感染すると、骨髄の働きに狂いが生じて血液細胞の製造が止まってしまったり、逆に過剰に製造したりします。

多くの場合は製造が止まり、赤血球や白血球のほかにも血小板なども減少し、それが原因で呼吸困難や貧血などを引き起こします。

稀ですが血液細胞が過剰に製造されるケースもあります。増幅し過ぎると、血管に詰まったり周りの細胞を破壊したりします。白血球がどんどん増幅していく症状から「白血病」と病名がつけられています。

また造血幹細胞よりも下流にダメージを受けると、赤血球のみを製造できず、白血球だけが増幅するケースも存在します。

 

猫白血病ウイルス(FeLV)とは

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猫白血病ウイルス(FeLV)とは、ガンマレイウイルスに属するRNAウイルスの一種で、自己複製と粒子生成に必要な「gag」「pol」「env」という遺伝子を持ったシンプルな構造をしています。

A、B、C、Tというサブグループに分かれており、猫に影響を与えるウイルスはAグループに属しています。ウイルスは感染している猫の唾液や鼻の粘膜、糞、尿、乳などに含まれているため、感染猫との通常接触の他にも様々な感染経路が考えられます。

母猫から子へ感染する母体感染や食器やトイレの共有のような物を介しての感染、またグルーミングで感染することもあるため、社交的な猫の間で感染しやすいとされています。

ただし感染した全ての個体が白血病を発症するとは限りません。

 

FeLVのサブタイプ

FeLVのサブタイプ

  • FeLV-A
  • FeLV-B
  • FeLV-C
  • FeLV-T

FeLVのサブタイプの内、感染した全ての猫に総じて見られるのは「FeLV-A」タイプです。そのほかのサブタイプが体内で発生するかどうかは、感染した個体によります。

全てのサブタイプを検査キットを使用し検出できますが、サブタイプ自体を見分けることはできません。

山口大学が2008年に行った調査により、日本にはほかの国とは異なる独自に変化したウイルス系統があることがわかりました。

調査チームが日本各地で収集された計216のFeLV陽性血液のサンプルを調べた結果、7つの系統分岐群を含む「G I」、独立している「G II」、2つの系統分岐群を含む「GⅢ」という日本特有の系統樹にあてはまることが明白になりました。

以上のことから、日本では世界で用いられている「A、B、C、T」というサブタイプではなく「G I、G II、GⅢ」というサブタイプを対象にして病原性の調査を行うべきであるとも考えられています。

 

FeLV-A

先に述べた通り、FeLVに感染した全ての個体に見られるタイプです。免疫力の低下に関連しています。

小腸や肝臓、腎臓、リンパ細胞などで見受けられる「高親和性チアミントランスポーター1(細胞受容体)」を通じて細胞内に侵入して、排泄物や血液、唾液の中に混ざります。

唯一このタイプが猫同士で水平感染します。

 

FeLV-B

FeLV-Aとネコゲノムに含まれているFeLV-シークエンスが互いに作用することで誕生すると考えられるタイプです。

「リン酸トランスポーター1(細胞)」を介して感染をします。各種腫瘍の形成に影響を及ぼすと考えられます。

 

FeLV-C

FeLV-Aのenv遺伝子の変異により生まれた亜種に分類されます。

サブタイプの中で一番病原性が高く、再生不良貧血の原因となります。

 

FeLV-T

FeLV-AのSU遺伝子の配列が変異して生まれた亜種に分類されます。

遺伝子のタイプはFeLV-Aと96%一致しています。

末梢血中に多く存在するTリンパ球に、生命の危機を与える恐れのある免疫不全を引き起こします。

 

猫白血病ウイルス(FeLV)の感染経路

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猫白血病ウイルス(FeLV)に感染をしている猫の唾液や涙などの体液に含まれているウイルスを、口や鼻から取り込むことによって感染します。

感染猫からつけられた傷を舐めたり、猫同士のグルーミングで舐め合ったり、食器の共有からも感染する可能性があります。

また母体から胎児へ母体感染するケースもあります。中でも胎盤感染をすると流産や死産をすることが多く、たとえ生まれても健康に育つことが難しいです。

体内に入り込んだウイルスは血中のリンパ球によって全身へと運ばれて、消化管や脾臓のリンパ組織の中で増幅して骨髄内へ感染を拡大します。

しかし感染力自体は弱く、感染猫と数回接触した程度では感染しません。

 

ネコノミからも感染する可能性

最近、猫などの小動物に寄生するネコノミが猫白血病ウイルス(FeLV)を媒介する可能性があることがわかり、感染源としてネコノミの存在を無視することができなくなりました。

ドイツの調査チームが2003年に猫白血病ウイルス(FeLV)を持っている猫の血液をネコノミに与えた結果、ノミの糞や体内からもウイルスが確認されました。

さらにノミを2つのグループに分けて、一つのグループにはウイルスを持っていない猫の血液を、もう一つのグループにはウイルスを持っている猫の血液を再度与えました。

その結果、ノミの糞や体内のみならず餌として与えた血液中からもウイルスが検出されました。ノミが血を吸う過程で体内に存在しているウイルスが外に出て血液を汚染したものと考えられます。

また2002年に日本大学の調査チームが、ネコノミが寄生している猫はFeLVの感染率が上がる傾向にあると報告しています。

 

猫白血病ウイルス(FeLV)感染症の特徴

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骨髄や小腸上皮などの活発に分裂をする細胞内でのみ自己複製します。

1種だけに限定される種特異性が高く、人間や犬などネコ科動物以外には感染することはありません。

 

猫白血病ウイルス(FeLV)に感染するケース

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代表的な危険因子

  • オス猫
  • 放し飼いの猫
  • 成猫
疫学調査の結果
FeLVの抗原陽性率2.3%(409頭)
FIV(猫エイズ)の抗体陽性率2.5%(446頭)
両疾患の複合感染率0.3%(58頭)

2004年8〜11月にかけて、アメリカとカナダの動物病院(345院)を受診した9,970頭と、動物保護施設(145箇所)に保護されていた8,068頭、計18,038頭の猫を対象に疫学調査が行われました。

上記の表がその調査結果です。

 

オス猫

去勢されていないオス猫は活動範囲が広く、猫白血病ウイルス(FeLV)に感染した猫との接触の可能性が高いです。

また発情期のメス猫を巡ってほかのオス猫と奪い合いのケンカをすることによって受傷し、そこからウイルスが感染する場合もあります。

疫学調査でも、避妊手術を行っていないメス猫よりも去勢手術を行っていないのオス猫の方が2.4倍も感染リスクが高いことがわかりました。

 

放し飼いの猫

外で自由に生活をしている野良猫や放し飼いをされている猫は、様々な猫と触れ合う機会が多いため感染の確率はその分上がります。

疫学調査によると、症状の出ていない室内で飼育されている猫よりも、症状が出ている放し飼いの猫の方が8.9倍も感染の確率が高かったとの結果が出ています。

 

成猫

成猫は子猫に比べて長く生きている分、ウイルスに接触するリスクが高まります。

疫学調査で、7ヶ月以上の成猫の方が7ヶ月未満の子猫よりも2.5倍感染率が高いことが判明しました。

 

猫白血病ウイルス(FeLV)の感染率

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国ごとの感染率

  • アメリカ 2.3%
  • ドイツ・カナダ 3.6%
  • エジプト 4.6%
  • タイ 24.5% など

猫の飼育環境を加味しない際の猫白血病ウイルス(FeLV)の感染率は、国によって大きく異なります。

 

日本での感染率

2002年に日本大学が日本の各地から1,088の血液サンプルを集めて調べた結果、その内2.9%(32サンプル)が陽性反応を示しました。

また2008年3〜10月に行われた山口大学の調査では日本各地から集めた1,770の血液サンプルの内12.2%(216サンプル)が陽性でした。

2つの調査によりわかったことは、陽性率は地域により大きく異なり、南部地域の陽性率が高いということです。

感染率に地域差が出る理由は解明されていません。飼育スタイルや気候、ネコノミの寄生率、猫密度などが要因として考えられます。

 

猫白血病ウイルス(FeLV)の感染から発症まで

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感染後にウイルスが排除されない確率
新生児90%
生後半年齢50%
成猫20%

健康な成猫の場合、猫白血病ウイルス(FeLV)に感染をしても免疫構造がウイルスを撃退し発症しないケースもあります。

生まれたばかりの子猫はウイルスに感染すると高確率で排除することができません。成猫の多くは自己免疫でウイルスを体内から排除できます。

猫白血病ウイルス(FeLV)を排除できなかった場合、症状が出ていなくとも半年〜1年のスパンで定期検診を受けることを推奨します。

猫白血病ウイルス(FeLV)を持続感染した個体の70〜90%は1年半〜3年の間に発症し亡くなっています。

 

猫白血病ウイルス(FeLV)感染症の症状

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主な急性期症状

  • 食欲不振
  • 体重減少
  • 貧血
  • 下痢
  • 発熱
  • 脱水
  • 鼻水
  • 口内炎
  • リンパ節の腫れ など

猫白血病ウイルス(FeLV)に感染してから約1ヶ月程度で喉や口のリンパ節、血液の中に侵入したウイルスの影響が急激に現れます。

その後ウイルスは骨髄へと拡大し造血幹細胞に悪影響を与え、猫白血病が発症します。

感染の可能性がある症状

  • 病気や傷が治りにくい
  • 下痢が続く
  • 歯茎が白い
  • 体重減少
  • 元気がない
  • 貧血 など

病気や傷が治りにくくなる、下痢が続く、歯茎が白い、貧血などの症状が見られる場合、猫白血病ウイルス(FeLV)感染症の可能性があります。特に貧血は死亡原因にもなり得るため、注意が必要です。

主な病気

  • リンパ肉腫
  • 腎臓病
  • 慢性口内炎
  • 貧血
  • 白血球減少症
  • 流産 など

また猫白血病ウイルス(FeLV)により引き起こされる主な病気は上記のようなものがあります。

 

FeLV進行の4形態

FeLV進行の4形態

  • 進行型
  • 退行型
  • 未発達型
  • 局所型

猫白血病ウイルス(FeLV)感染症は、進行の度合いや速さ、特徴によって4つのタイプに分かれます。

どのタイプに進行するかは、個体が先天的にもつ免疫力やワクチン接種の有無で変わります。

 

進行型

最も重い症状が出るタイプです。

体内に侵入したウイルスは、リンパ組織や骨髄、粘膜層などで増殖を繰り返し、次第に猫の免疫がそれに対抗できなくなって、数年で病に屈することになります。

生後4ヶ月でウイルスに感染した場合、進行型に発展する可能性は15%ほどです。しかし生後2ヶ月未満で感染すると、ほとんどが進行型に発展し、その後数年の以内に死亡します。

 

退行型

免疫応答がウイルスの増幅を抑え込んで、骨髄へ侵入する前にウイルスを体内から排除するタイプです。

ウイルスはDNAに埋め込まれていますが、ウイルス自体の複製や体外へ排出させることはできません。

感染から2〜3週で抗原テストが陽性反応を示した後、2〜8週間で血中の抗原が自然消滅します。ただプロウイルスのDNAやウイルスRNAは、感染から約1週間でウイルスの核酸を検出する技術であるPCRによって検出されます。

そのため、抗原テストで反応がない場合でもPCR検査で陽性反応が出ることもあります。

血液を提供する場合には、事前にPCR検査を必ず行っておかなければいけません。

 

未発達型

感染はしたものの、ウイルスや抗原、プロウイルスDNA、ウイルスRNAを検出できない状態です。

実験過程の人為的感染後に万に一つ見られるレアなパターンです。

 

局所型

ウイルスが全身へ拡大せず、脾臓や小腸、リンパ節などの局所にとどまるタイプです。

このタイプもまた、めったにない珍しいケースです。

 

FeLV性貧血

猫白血病ウイルス(FeLV)が骨髄に到達すると、骨髄内にある造血幹細胞に感染します。血液細胞の正常な分泌を妨害し、血小板現象症や好中球減少症、赤血球異常に伴う再生不良性貧血が発症します。

再生性の溶血性貧血や大赤血球症が発現することもありますが、その確率は10%未満です。

貧血を起こした猫の歯茎は白く変色します。

 

FeLV性白血病

骨髄内の造血細胞に猫白血病ウイルス(FeLV)が感染すると正常な白血球が生成されなくなります。そして悪性化したリンパ球がリンパ性白血病を発症させます。

急性と慢性があり、急性は未熟なリンパ芽球が血液中で増加し、逆に慢性は成熟した悪性リンパ球が増加する特徴があります。

正常なリンパ球が減少すると免疫力が低下し、健康な状態であれば病原性が低いノミやダニなどにも対抗できなくなります。

カリシウイルスやヘルペスウイルスなどの病原性ウイルスへの抵抗力も弱くなり、感染症にかかりやすくなります。

 

FeLV性流産

猫白血病ウイルス(FeLV)に感染したメス猫が妊娠すると、妊娠中〜後期に胎児の子宮内吸収や死亡、胎盤退縮などが起こります。

子宮内にて胎児が死亡すると、好中球の数が減っている母体の子宮内膜症の発症リスクも高まります。

無事出産した場合でも、胎盤やコロストラムからウイルスを取り込んでいる状態のため、生後間もなく命を落とすこともあります。

原因不明の「新生子衰弱症候群」の中にも、垂直感染した先天性の猫白血病ウイルス(FeLV)が原因の症例も多く含まれていると推測されます。

 

FeLV性リンパ腫

猫が患う悪性リンパ腫には猫白血病ウイルス(FeLV)が関係していることはほぼ間違いないです。それを裏付ける以下のデータがあります。

・猫白血病ウイルス(FeLV)を体内に持っている個体がリンパ肉種を発症する確率は、ウイルスを持っていない個体の62倍である。
・リンパ肉腫のうち70%は猫白血病ウイルス(FeLV)が原因。

また猫エイズウイルス感染症(FIV)も増悪因子の一つであるとされます。

猫エイズウイルス感染症(FIV)は、猫白血病ウイルス(FeLV)の発症リスクを6倍に高めるうえ、リンパ肉腫の発症率を77倍までにも引き上げます。

はっきりとした発症のメカニズムは未だ解明されていませんが、腫瘍発症に関わるサブタイプFeLV-Bが起因しているものと思われます。

 

猫白血病ウイルス(FeLV)感染症の検査

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猫白血病ウイルス(FeLV)感染症の検査には「テキストキット検査」「PCR検査」「IFA検査」があります。

それぞれに検査を行うタイミングや検査方法が異なります。

 

FeLV検査のタイミング

猫白血病ウイルス(FeLV)に感染をしてもすぐには陽性反応が出ないため、検査を行うタイミングが非常に重要となりす。

陽性反応が確認できるのは、個体により差がありますが、基本的に感染から約4週間後からです。

また一度検査キットで陽性反応が出たとしても、自己免疫によりウイルスを排除できる可能性があります。

感染から3〜6ヶ月経ってから再検査を行った際に陰性に転じる「陰転」が起こる場合もあるので、獣医師の話をしっかりと聞くことが大切です。

病院で行う検査の精度は100%ではないので、検査するのに十分な量の抗原が現れるのを待ち、最初の検査から1ヶ月程度の間を開けてから再検査を行うことが望ましいです。

 

FeLV検査が推奨される猫

検査が推奨される個体

  • 迎え入れたばかりの野良猫
  • 保護したばかりの子猫
  • 脱走して帰ってきた飼い猫
  • 放し飼いの猫
  • 野良猫と接触した可能性がある飼い猫

病歴がわからない個体に対しては、全てにおいて猫白血病ウイルス(FeLV)検査を行うことが理想です。

 

テストキット検査

テストキットによるウイルス抗原検査とは、猫白血病ウイルス(FeLV)を作るコアタンパクの一種である「p27」を検出する方法です。

血液中に抗原が出現するか否かには個体差がありますが、通常は約1ヶ月で検出が可能になります。「抗体」を検出する方法ではないため、ワクチン摂取によって結果に紛れが生じることはないです。

また子猫が母体からの移行抗体を保持している場合、血中抗原は検出することが可能のため、できるだけ早急に検査を受けることが重要です。

院内検査キットでのp27の検出は、末梢血液中の抗原を調べます。一部のキットを除いては、涙や唾液は汚染されやすいため基本的に使用されません。

 

日本国内に流通する『FeLV向けの院内検査キット』の一例

FeLV検査キット一覧
スナップ・FeLV/ FIVコンボ・INDXX
・1回の採血で血中におけるFeLV抗原、FIV抗体の検出を同時に行う
・10分間で判定
・検体は血清、血奨または全血
ウイットネスFeLV-FIV・Zoetis
・1回の採血で血中におけるFeLV抗原、FIV抗体の検出を同時に行う
・10分間で判定
think ネコ 免疫不全ウイルス抗体/ネコ 白血病医ウイルス抗原検査 コンボキット FIV/FeLV・アークレイ
・1回の採血で血中におけるFeLV抗原、FIV抗体の検出を同時に行う
・10分間で判定
・約10μL
・項目の微量検体で測定
チェックマンFeLV・共立製薬
・免疫クロマトグラフ法によりFeLV抗原のみを検出
・検体は全血、血漿、血清もしくは唾液のいずれか

 

PCR検査

PCR(ポリメラーゼ連鎖反応)検査は、猫白血病ウイルス(FeLV)が遺伝子の中に保持する核酸(プロウイルスDNAやウイルスRNA)を血液中から検出する方法です。

院内では検査することができないため、サンプルとなる血液や骨髄などを専門のラボに送ります。

PCR検査の特徴は、

・感染から1週間程度でp27抗原を検出できる。
・テストキットでは判明しないウイルスのサブタイプがわかることがある。

抗原検査より検出の精度が高いとされ、抗原検査では陰性と判断されていた個体の5〜10%がPCR検査では陽性と判定されることがあります。

 

IFA検査

IFA検査(蛍光染色法抗体テスト)とは、血液細胞中のp27抗原を検出する外注の検査方法です。

骨髄内にウイルスが侵入して生じる二次的なウイルス血症から検出が可能です。

骨髄に感染が見られない個体や、感染していても白血球減少症の個体は偽陰性と判定されやすいです。

 

FeLV検査キットの精度

海外の各調査機関では、以下のような結果が報告されています。

・「感度」とは陽性のものを正しく陽性と判定する確率。
・「特異度」とは陰性のものを正しく陰性と判定する確率。

 

オーストラリアの調査(2016年)

商品名感度(%)特異度(%)
SNAP FIV/FeLV Combo6394
Witness FeLV/FIV5798
Anigen Rapid FIV/FeLV5798

 

アメリカの調査(2017年)

商品名感度(%)特異度(%)
SNAP FIV/FeLV Combo100100
Witness FeLV/FIV8995.5
Anigen Rapid FIV/FeLV91.895.5
VetScan85.685.7

 

IDEXXラボの調査(2016年)

商品名感度(%)特異度(%)
SNAP Feline Triple Test98100
Witness FeLV/FIV7997.1
VetScan7397.1

 

注意点

ウイルスを保持していない個体を陽性と誤判定する「偽陽性」の報告も多いです。健康な個体が不必要な治療を受けることで逆に体調を崩したり、最悪の場合命を落とすこともあります。

検査キットでの誤判定を避けるためには、1度の検査で判断せずに最低1ヶ月の間隔をおいてから別のキットやPCRでの再検査をおすすめします。

 

猫白血病ウイルス(FeLV)感染症の治療

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治療方法

  • 免疫抑制剤
  • 輸血
  • 抗ウイルス治療
  • インターフェロン治療
  • 免疫調整因子

猫白血病ウイルス(FeLV)は一度発症すると完治を目的とした治療方法はありません。苦痛を緩和しながら病気の進行を遅らせる治療を行います。

免疫力低下により現れる様々な疾患を、その場の対処で抑え込むことを繰り返します。

リンパ腫の場合には抗がん剤治療や放射線治療、外科手術を行います。また貧血の症状が酷い場合はステロイド剤の投与や輸血を、免疫力が低下する場合は抗生物質や免疫力を高めるインターフェロンを服薬するなど症状に合わせた治療を行います。

 

免疫抑制剤

糖質コルチコイドをはじめとした免疫抑制剤の使用は、酷い口内炎のように日常生活に影響を与え、生活の質を極端に低下させる恐れがある炎症性病変が見受けられる場合にのみ使用を考慮します。

ただ強い副作用があるので、抑制剤の使用を控え、潰瘍部分のレーザー切除や抜歯が優先されることもあります。

 

輸血

再生不良性貧血やリンパ球の減少が著しい場合は輸血治療を行います。

 

抗ウイルス治療

猫に対しての作用が唯一確認されているのが「ジドブジン」(AZT、アジドチミジン)です。ウイルスの複製を阻止することが確認されています。

血液中のウイルスの量を減少させる働きが期待でき、神経症状や口内炎を持った猫に有効ですが、日本国内では動物用医薬品として使用されていません。

再生不良貧血が主な副作用として挙げられます。

 

インターフェロン治療

ウイルスや腫瘍細胞の増殖抑制作用のある猫用製剤「ネコインターフェロン-ω(オメガ)」の使用が許可されている国がいくつかあります。

「インターフェロン」とは細菌やウイルスなどの病原体やがん細胞のような異物に反応して体内の細胞が分泌するタンパク質の総称です。

猫白血病ウイルス(FeLV)に感染している猫を対象にした調査で、ネコインターフェロン-ω(オメガ)を投与した個体と未投与の個体を長期間観察をしたところ、1年後の生存率が投与した個体の方が有意に高かったとの報告が上がっています。

しかしウイルスの数が減少したとの確認は取れておらず、生存率が伸びた理由は今だにわかっていません。

現在日本で使用されているネコインターフェロンは、猫カリシウイルス感染症に働くとされる「インターキャット」(東レ)のみで、この薬品を猫白血病ウイルス(FeLV)や猫エイズウイルス感染症(FIV)に対して用いることは「オフラベル」(ガイダンス外使用)になります。

 

免疫調整因子

米国ではアメリカ合衆国農務省(USDA)によって、猫白血病ウイルス(FeLV)と猫エイズウイルス感染症(FIV)に対する「LTCI」(T細胞免疫調整因子)の使用が許可されています。

LTCIはCD4の分化や成熟を助け、CD8の活性化を促して悪性腫瘍細胞や病原体への抵抗力を高めます。

しかしこちらも日本での使用はされていません。

 

CD4・CD8について

CD4/CD8とは
CD4CD4陽性T細胞(ヘルパーT細胞)
CD8CD8陽性T細胞(キラーT細胞)

「CD」とは免疫細胞の表面に見られる糖タンパクのことです。

CD4を保有する細胞がCD8を保有する細胞に対してサイトカイン(IL-2ほか)、ガンマインターフェロン(腫瘍細胞や病原体などに反応し、細胞が分泌するタンパク質の一種)を介して指示を送ることで体内の病原体や異物を取り除きます。

 

猫白血病ウイルス(FeLV)が陽性の猫との暮らし

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猫白血病ウイルス(FeLV)に感染した猫は短命になりますが、生活の質を保つことはできます。

猫白血病ウイルス(FeLV)に感染した1,000頭と未感染の8,000頭の猫の寿命を比較した調査では、感染猫の平均寿命は4.9年、未感染の猫の平均寿命は6年という数字が上がっています。

また別の調査では、感染猫800頭の平均寿命は2.4年、未感染の8,000頭の平均寿命は6.3年という結果も出ています。

猫白血病ウイルス(FeLV)に感染すると、寿命が1〜4年縮むことがわかっています。ただ感染したからといって即死亡するわけではありません。生活の質に気を付けてあげれば数年間は一緒に生活を共にすることができるのです。

 

一緒に暮らす際のポイント

猫白血病ウイルス(FeLV)に感染している猫と一緒に生活をする際に気を付けたいポイントを紹介します。

・他の病気にかからない、そして他の猫に病気を移さないためにもなるべく室内で飼育をする。
・ストレスを与えない。
・食生活に気を遣う。特に生肉を与えるのは避ける。
・いつでも新鮮な水が飲めるようにする。
・感染をしても無症状のことがあるので、常に愛猫の様子を注意して観察する。
・半年ごとに健康診断を受ける。また何か異変を感じたらすぐかかりつけの動物病院へ連絡する。
・腎臓や肝臓の機能低下、貧血、リンパ節のシコリに気をつける。
・症状が出ていなければ、ほかの感染症にかからないように予防接種を受ける。
・多頭飼いをしているならば、必ずウイルス検査を受けて陰性であったならばワクチン接種を行う。
・原虫(コクシジウムほか)や内部寄生虫(回虫や条虫)、外部寄生虫(ノミやダニ)の駆除を行う。
・定期的な体重計測。
・病変はないか口腔内をこまめにチェックする。
・リンパ肉腫の有無をこまめにチェックする。

 

猫白血病ウイルス(FeLV)感染症の予防

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予防方法

  • 完全室内飼いへの切り替え
  • メス猫の避妊手術
  • オス猫の去勢手術
  • 医原性感染への注意
  • FeLVワクチン接種

猫白血病ウイルス(FeLV)への感染を予防したい場合、一番重要となるのは感染している猫との接触を避けることです。

また万が一感染してしまった場合を想定して、ワクチンを接種しておくことも大切です。

 

完全室内飼いに切り替える

飼育している全ての愛猫の生活環境を完全に室内のみに限定し、ウイルスを保持している猫との接触を断絶します。

ウイルスを貰わないため、そして感染している場合にはウイルスをほかの猫に移さないためにも重要なことです。

 

メス猫を避妊手術する

母から子への垂直感染を起こさないために、ウイルスに感染しているメス猫には避妊手術を行い繁殖を制御します。

退行型感染の場合、事前の抗原検査で陰性であったとしても妊娠による免疫力の低下でウイルスが活性化して子に移る可能性もあります。

PCR検査ならより高い確率でウイルス感染の有無を判定できます。しかしその精度は100%ではありません。

 

オス猫を去勢手術する

去勢手術を行うことで、ほかのオス猫との争いを減らします。

発情によるストレスも軽減され、免疫力が低くなっている際にかかりやすい二次感染を防げます。

 

医原性感染に注意する

消毒をすることで付着した猫白血病ウイルス(FeLV)を取り除くことはできますが、医原性感染の可能性は否定できません。

動物病院内での手術や注射器、診察台、聴診器などから院内感染するケースもあります。過去に行われた調査で、使用した聴診器をしっかりと殺菌消毒せずに使用している獣医師が多いことが判明しています。

病院から帰宅をしたら、まずは飼い主さんが石鹸を用いて手洗いをしっかり行ってください。そしてペット用のウエットシートを使用し愛猫の体を軽く拭きます。

レトロウイルスは体内以外での生存力が弱く、石鹸や消毒液で簡単に死滅させることが可能です。

 

FeLVワクチンを接種する

猫白血病ウイルス(FeLV)は1964年に医師であるウィリアム・ジャレットの報告でメジャーな研究対象になりました。1973年には診断テストが、1986年にはワクチンが開発され、感染率が格段に減りました。

注意しなくてはならないのは、ワクチンは予防を目的としたものではなく、感染した際に症状を抑えるもののため、「ワクチンを打ったから感染しない」と油断しないことが大切です。

またワクチンを打っても十分な免疫力を得られない可能性もあるので、症状の悪化を100%防げないのが現状です。2013年に山口大学が行なった調査でも、猫白血病ウイルス(FeLV)ワクチンを打った286頭のうち6.3%(18頭)がウイルスに感染したとの報告があります。

またすでに感染をしている個体に猫白血病ウイルス(FeLV)ワクチンを接種しても意味がないので、事前の確認が必要です。

初回接種の後、約1ヶ月後に2回目の接種を行います。その後は1年に1回のペースで定期的な接種を続けます。ほかの猫と接触をしない場合はワクチン接種の必要はありません。

 

日本国内に流通するFeLV向けワクチン(2018年3月時点)

日本国内に流通する猫白血病ウイルス(FeLV)向けワクチン(2018年3月時点)
リュウコゲン
(1種)
・猫白血病ウイルス感染症
・ビルバックジャパン
・不活化
・水酸化アルミニウム/精製サポニン
ピュアバックスRCP-FeLV(4種)・猫ウイルス性鼻気管炎/猫カリシウイルス感染症/猫汎白血球減少症/猫白血病ウイルス感染症
・ベーリンガーインゲルハイムアニマルヘルスジャパン
・混合
・無
フェロバックス5(5種)・猫ウイルス性鼻気管炎/猫カリシウイルス感染症/猫汎白血球減少症/猫白血病ウイルス感染症/猫クラミジア感染症
・ゾエティスジャパン
・不活化
・エチレン/アクリル酸/油
ピュアバックスRCPCh-FeLV
(5種)
・猫ウイルス性鼻気管炎/猫カリシウイルス感染症/猫汎白血球減少症/猫白血病ウイルス感染症/猫クラミジア感染症
・ベーリンガーインゲルハイムアニマルヘルスジャパン
・混合
・なし

 

病気の特性をしっかりと理解することが大切

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普段聞きなれない猫白血病ウイルス(FeLV)ですが、意外にも私たちの身近に存在しているウイルスです。

家の外にも自由に出られるような環境下で愛猫を飼育している場合は、感染の可能性が高いので特に注意が必要です。

病気の特性をしっかりと理解し、愛猫の健康を守ってあげることが大切です。