犬のピットブルの飼い方まとめ!性格や寿命、子犬価格、散歩、ブリーダーは?

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愛玩動物看護師
監修者:渡邉鈴子

栃木県生まれ。帝京科学大学にて4年間、動物看護学をはじめとした動物関連の科目を学び、2023年5月には愛玩動物看護師免許を取得。これまでにうさぎや猫の飼育経験あり。現在では、ペット栄養管理士の資格取得に向けて勉強中。

ピットブルは、日本の闘犬界の横綱である「土佐犬」を倒すほどの闘争心と闘争能力を持った犬種です。

現在のピットブルは家庭犬として人気がありますが、かつては闘犬として育てられていたこともあり、一部の国や地域では飼育・繁殖が禁止されているほど飼育が困難な犬種でもあります。

この記事では、そんなピットブルの特徴や性格、価格や飼うときの注意点についてまとめました。

気になっている方やこれから飼育を検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。

 

ピットブルの基本情報について

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歴史

スタッフォードシャーブルテリアと闘犬用のブルドッグを掛け合わせて誕生したといわれています。

しかし、もともと犬同士を戦わせる賭けごとで勝利するために生まれた犬種のため、健全な犬の育成を目的としたAKC(アメリカンケンネルクラブ)では犬種として公認されませんでした。

それから50年ほどかけてドッグショーやペット用として、凶暴性を抑えた性格に改良され「アメリカン・スタッフォードシャー・ブル・テリア」として1936年に公認されました。

どんな犬種?正式名称は?

「ピットブル」の正式名称は「アメリカン・ピット・ブル・テリア」です。

より強い闘犬を作ろうと「スタッフォードシャー・ブル・テリア」と「ブルドッグ」を交配させてアメリカで誕生した犬種です。

闘犬としての強さやがある一方で、飼い主にとても忠実な一面があるため、家庭犬としても人気があります。

性格

ピットブルの性格

強い闘争心
忠誠心が高い
陽気
愛情深い

強い闘争心をはじめとした凶暴な一面ばかりが強調されがちですが、陽気で家族に対する愛情深さを持ち合わせています。

愛情深く陽気

攻撃性の強いイメージを持たれがちなピットブルですが、実は家族に対して愛情深く陽気な性格をしています。飼い主やその家族と寄り添うことを好み、落ち込んでいるときに寄り添ってくれる優しさも見られます。子犬の頃から適切な社会化とトレーニングを受けたピットブルは、他の人間や動物に対して友好的で社交的な性格を示す傾向があり、人懐っこさが見られるようになります。

賢く忠誠心が高い

ピットブルは賢い犬種です。しつけなどのトレーニングは飲み込みが早く、一度絆を築くと飼い主へみせる忠誠心の高さも魅力的です。しかし、その忠誠心は信頼からくるもの。子犬の頃から一貫したしつけと、良い関係性を築くことがとても大切になります。

強い闘争心

闘犬のイメージから、「番犬」として活躍できると思われる方もいると思いますが、特に警戒心が強いというわけではありません。不審な人物に襲いかかるといったことはしないため、番犬向きとは言えないでしょう。また、闘犬としての活躍や生まれ持った性質から、個体によっては適切な訓練を行っていても攻撃性が抑えられない場合もあります。興奮して抑えるのが難しい場合もありますので、国や地域の決まりに従い責任をもって飼育することが重要です。

外見の特徴

体高 46~56cm
体重 14~36kg
特徴 胸部が幅広い筋肉質体型

大型犬と思われがちですが、体高46~56cm体重14~36kg中型犬に分類されます。

胸部が幅広い筋肉質体型で、強さに溢れた個性的な顔立ちをしています。艶のある短毛で、毛色と模様は多種多様ですよ。

 

ピットブルの飼育ついて

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飼育の規制について

ピットブルテリアは、しつけの仕方を誤るとコントロール不能になるほど飼育難易度が高い犬種です。

世界中で飼育されている犬種の中で最も人の死亡事故が多く、危険性が高いという事から、国や地域によっては飼育・繁殖が厳しく規制されています。

日本では飼育規制はありませんが、茨城県ではトラブルを防ぐために「特定犬」として規制しています。そのため、茨城県では「おり」の中で飼育すると決められています。

日本国内でも地域によってルールがありますので、お住まいの地域はどのような規制があるのか必ず確認しましょう。

飼育に向く人

飼育に向く人

ピットブルの特性を理解している人
十分な運動量を確保できる人
トレーニングがしっかりできる人

ピットブルは初心者はもちろん、経験者でも飼育が難しい犬種です。

一貫性を持ってしつけられなければ手に負えなくなってしまいますし、十分な量の運動量を確保できないとストレスから問題行動を起こすこともあります。

運動の時間を十分に確保できるのか、しつけのトレーニングは徹底できるのかなど、ピットブルにとって良い環境を作ることができる飼い主が飼育に向いているといえますよ。

多頭飼育や小動物との生活は避ける

他の犬との多頭飼育や、小動物との同じ場所での飼育は、トラブルを生む可能性が高まります。

もちろん環境によって変わるとは思いますが、しつけがなっていない場合は特に攻撃性が強くなりますので、トラブルを避けるためにも生活空間は分けた方が無難かもしれません。

ピットブルは暑さに弱い

ピットブルは短頭種といういわゆる「鼻ぺちゃ」な犬種のため、鼻呼吸での体温調節が苦手です。

そのため暑さに弱いので、夏場の室温管理は気をつけてあげてくださいね。

 

ピットブルの食事について

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ドッグフードをメインで与えたい場合は、「総合栄養食」と表示されているドッグフードを選びましょう。

これは水と一緒に与えるだけで、健康が維持できるドッグフードのことです。

選ぶ際は原材料を必ず確認しましょう。主原料が「肉類」であることが望ましいですよ。

手作り食をメインで与えたい場合は、「一般食」と表示されているドッグフードがおすすめです。

いわば「おかず」のようなものであり、トッピングとして利用することで手軽に栄養を追加することができます。

食事量

ピットブルに与える食事の量は、ドッグフードのパッケージ裏面に記載されている量を与えるようにしましょう。

ただ、体重との換算表は愛犬が「理想体型」であることを前提としていますので、太っている子や痩せている子は量の調整が必要になります。

子犬やシニア犬の場合も同様で、体形や体質を確認しながら量の調整を行ってくださいね。

ごはんを食べない・・・どうすればいい?

ご飯を食べない場合はいくつかの理由があり、主に「好みの味ではない・食べにくい」「体調不良や季節による食欲の低下」「食器や環境が気に入らない」「ストレスが溜まっている」「病気」などが挙げられます。

この場合は、以下の方法を取り入れてみてくださいね。

トッピングをしてみる

まずはドッグフードにササミなどをトッピングして与えてみて、食欲が改善されるかを確認してみてください。新鮮な生肉を原材料に利用しているドッグフードに切り替えるのも手ですよ。

フードを食べやすくする

食べづらさが原因の場合は、飼い主さんがひと手間加えてあげましょう。ドライフードであれば、ぬるま湯でふやかして香りを立たせるのも手です。ニオイで食欲を刺激することができます。ウェットタイプとドライタイプを組み合わせれば嗜好性が高まり、また水分も一緒に摂取することができます。

食器や環境を変えてみる

食器や食事の場所が関係する場合は、これらを変えるようにしてみましょう。フードを入れる容器や水飲み場を食事しやすい食器に変更したり、落ち着いて食べられるスペースを確保してあげるといいかもしれません。「飼い主さんと過ごす時間が足りない」「運動不足」などでストレスを抱えている場合もあるので、たくさん遊んだり散歩の時間を増やしてストレスを発散させてみるのもオススメです。

動物病院で診てもらう

食べない原因が病気の可能性もあります。口内炎などの痛みを伴う場合、食べたくても、食べられない可能性があります。「好きなおやつも食べない」「ぐったりしている」「元気がない」といった様子が見られるようであれば、かかりつけの動物病院で診てもらいましょう。

 

ピットブルの散歩やしつけについて

散歩

1日2回、それぞれ1~2時間の運動量が必要です。

ピットブルはもともと使役犬として働いていた犬なので、運動が足りないとストレスが溜まり問題行動を起こすこともあります。

散歩コースは慎重に

トラブルを避けるためにもコース選びは重要です。

ピットブルは力が強く闘犬としての本能を持ち合わせていますので、興奮すると手に負えなくなるかもしれません。

他の犬が多く通る道や、小さい子供が遊ぶような公園は避けたほうがいいでしょう

避けることが難しいようであれば、時間帯を変えるなどの工夫も必要です。

しつけ

しつけのコツ

主従関係を明確にする

ピットブルに関しては特に主従関係を明確にしたしつけが重要です。

飼い主が確実にボスとなり、愛犬をコントロールする必要があるからです。

しつけが難しいと感じた時は無理をせず、専門のトレーナーの力を借りて性格を良く見極めながら飼育することが愛犬にとっての幸せにつながります。

 

ピットブルのお手入れについて

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お手入れについて

日々のお手入れ・ケア

被毛ケア
シャンプー
耳掃除
歯磨き
爪切り

ピットブルとの生活をともにする上で、日々のお手入れは大切です。「被毛ケア」「シャンプー」「耳掃除」「歯磨き」「爪切り」などを取り入れて清潔を保つようにしましょう。

定期的なケアは犬の体調をチェックすることにも繋がります。スキンシップを心がけて、病気や異変を未然に防ぐことが大切です。

被毛ケア

被毛は定期的にブラッシングすることが重要です。毛の絡まりや抜け毛を防ぎ、清潔で健康な被毛を保つことができますよ。短毛なので、週に1回~2回程度で問題ないでしょう。

シャンプー

適切な犬用シャンプーを使用し、毛並みや肌に合わせた温度のお湯で洗います。頻度は個体や被毛の状態により異なるため、獣医師のアドバイスを参考にするようにしてください。ホットタオルで体を拭いたケアでもいいでしょう。

耳掃除

耳は定期的にチェックしましょう。ピットブルは垂れ耳なので、通気性が悪い場合は炎症が起きている場合に悪化しやすくなります。

見える範囲でいいので耳専用のクリーナーを使用して掃除をしてあげてください。「耳垢が増えた」「悪臭がする」といった普段と違う様子の場合は病院で見てもらいましょう。

歯磨き

犬の歯の健康は全体的な健康にも関わるため、定期的な歯磨きが必要になります。犬用の歯ブラシや、歯垢・歯石を取り除いてあげてください。歯ブラシが苦手な方は、歯磨き用のおもちゃやパウダー状の食事に混ぜるケア用品も販売されていますので、ぜひ取り入れてみてくださいね。

爪切り

犬の爪は適度な長さに保つ必要があります。必要に応じて爪切りを使用し、適切な長さに切り揃えましょう。

愛玩動物看護師 渡邉鈴子さん
日々のお手入れが自宅で行うのが難しい場合は動物病院やトリミングサロンなどにお任せすることも視野にいれるといいでしょう。

 

ピットブルの寿命・病気について

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寿命

平均寿命

8~15年前後

闘犬として命を落としたピットブルが多いため正確な統計が取れていませんが、ピットブルの平均寿命は8~15年前後といわれています。

病気

気をつけたい病気

尿石症
皮膚病
股関節形成不全

ピットブルを飼育する上で気をつけたい病気は、「尿石症」「皮膚病」「股関節形成不全」です。

尿石症では、主に雄にかかりやすい病気です。主に2種類の尿石があり、食事で改善できるストラバイト結晶と食事では改善できないシュウ酸カルシウム結晶があります。日々の食事の中でミネラルバランスをしっかり意識することが大切です。また、秋から冬にかけては飲水量の低下とともに尿結石もできやすいので注意しましょう。

股関節形成不全は、股関節の骨の形が変形してしまう関節の病気です。変形した箇所が嚙み合わず炎症を起こし、痛みで動くのを嫌がるようになります。治療法は年齢や状態で変わります。原因は遺伝的なもの以外に、肥満や激しい運動があげられます。

またピットブルは皮膚が薄く弱いため、皮膚トラブルにも注意が必要です。

 

ピットブルの価格や迎え入れについて

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価格

価格

10~30万円

ピットブルを迎え入れる際にかかる費用は10~20万円ですが、親がチャンピオン犬などの付加価値がつくと20~30万円以上する場合もあります。

迎え入れ先

迎え入れ先

ブリーダー
里親

ピットブルを新しく迎え入れる主な方法は、「ブリーダー」「里親」です。

容易に飼育できる犬種ではないため、ピットブルの知識や飼育経験が豊富なブリーダーを探し迎え入れるようにしてください。

迎え入れる前までに準備しておくもの

準備しておくもの

ケージ
食器類
首輪・ハーネス
トイレ用品
ケア用品
おもちゃ

ピットブルを迎え入れる前までに準備しておきたいものは「ケージ」「食器類」「首輪・ハーネス」「トイレ用品」「ケア用品」「おもちゃ」になります。

ケージ

ピットブルは噛む力が強くてガタイがいいので、壊れにくいアルミやステンレス製のケージがおすすめです。

食器類

食器は、噛んでも傷がつきにくく耐久性のあるステンレス製のボウルタイプを選ぶといいですよ。

水飲みはボウルでも大丈夫ですが、ドカ飲みや衛生面を考えると吸水ボトルタイプがおすすめです。

首輪

ピットブルは引っ張る力が強いため、首輪とリードは頑丈でなくてはいけません。

引っ張りのトレーニングであれば、金属の首輪であるチョークチェーンも多くの飼い主さんに支持されていますよ。口輪に関しては、TPOによって使い分けることも検討してください。

トイレ用品

トイレトレーはワイドサイズのトイレシートを2枚並べるタイプがおすすめです。

犬はトイレトレーの上でクルクル回り態勢を整えてから排泄するので、余裕があるサイズを選んであげてください。

ケア用品

ケア用品として「ブラッシング用の獣毛ブラシ」「シャンプー」「イヤークリーナー」も揃えるようにしてください。

おもちゃ

ピットブルは噛む力が強いので、おもちゃもすぐに壊れてしまいます。

「鹿の角」や、しつけと遊びの両方を楽しめるゴムでできたおもちゃがおすすめです。

 

まとめ

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いかがでしたでしょうか?

この記事では、ピットブルの飼い方について紹介しました。

人間に怪我を負わせてしまったトラブルが世界で報告されるほど、飼育が難しいピットブル。

そのため、初心者には向かないと犬種と言えます。

すでに飼育している、これから飼育を考えている皆様のお役に立てる情報があれば幸いです。

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