日本で一頭だけ?コモンドールの飼い方まとめ。特徴や性格、価格は?初心者には難しい?

コモンドール3
愛玩動物看護師
監修者:渡邉鈴子

栃木県生まれ。帝京科学大学にて4年間、動物看護学をはじめとした動物関連の科目を学び、2023年5月には愛玩動物看護師免許を取得。これまでにうさぎや猫の飼育経験あり。現在では、ペット栄養管理士の資格取得に向けて勉強中。

モップのような毛並が特徴のコモンドールは、子どもや女性からも人気があり憧れている方も多い犬種です。

そんなコモンドールは日本の気候で繁殖、生活するのが難しいと言われ、なかなかお目にかかれない珍しい犬種でもあります。

今回の記事では、コモンドールの特徴や性格などどんな犬種なのかまとめてみました。飼育の難易度についても触れています。

コモンドールってどんな犬種?

コモンドールの画像
コモンドールは原産国のハンガリーで家畜の番犬として飼われてきた大型犬です。体高は65~70cmで体長がやや長く、体重は40kg~60kgほどです。しっぽは長め、全体的にガッチリとした体型をしています。

コモンドールの最大の特徴は、モップのような見た目の被毛です。鼻や目が隠れるほどの長く密集した被毛を持っています。

コモンドールは日本にいる?

JKC(一般社団法人ジャパンケネルクラブ)犬種別犬籍登録頭数2023年版に登録されているコモンドールは一頭だけです。

日本に一頭しかいないという点で、ペット業界で働いている方でも本物を見たことがないという方が多く、とても珍しい犬種と言えますね。

コモンドールの性格は?

知能が高いコモンドールは、家畜や使役犬を統率するリーダーとして優れています。

現在はペットとして飼育されるようになりましたが、知能の高さやリーダーとしての資質は色濃く受け継がれています。

独立心が強く頑固な一面もあるので、しつけをしっかり行い、飼い主がリーダーであると理解させてくださいね。

コモンドールとプーリーの違いは?

コモンドールによく似ていると言われる犬種「プーリー」との違いは、体の大きさと被毛カラーの数です。

大型犬のコモンドールに対して、プーリーは中型犬です。また、プーリーはホワイト・ブラック・グレーといった豊富な被毛カラーが存在しますが、コモンドールはアイボリーの1種類しかありません。

どちらも牧羊犬として活躍していたため、スタミナが豊富で高い運動力を持ち、性格も似ています。独立心や警戒心が強い傾向にあるので、しつけトレーニングを徹底して行える人が飼い主に向いています。

カット推奨?コモンドールのお手入れ

コモンドールの画像
まるでモップのような被毛を持つコモンドールは、三重の被毛を持つ犬種です。

抜け毛が多いと思われがちですが、対策が必要なほどではありません。外側にある硬めのオーバーコートに抜け毛やゴミが絡まりやすく汚れやすいため、被毛のお手入れはとても大変です。

一般的なブラシやコームでは取り除くことができないため、抜け毛やゴミは手で丁寧に取る必要があります。

清潔に保つためにもトリミングを

定期的なシャンプーが必要ですが、まとまっているオーバーコートを1本ずつほどきながら行うためかなりの時間がかかります。

1本ずつ洗って1本ずつ乾かして…と考えると、家庭で行うのは現実的ではありません。サロンで依頼するにしても、断られたりどうしても費用が高額になったりする可能性が高いです。

あのモップのような被毛が特徴的ですが、衛生面を考えるとカットしてもらうのがおすすめ。店舗によってはコモンドールのカットを断っているため、事前に確認しておきましょう。

もしコモンドールを飼育できるとしたら?準備はどうする?

準備するもの

飼育スペース・ケージ
食器類・床材
首輪やリード・おもちゃ
ドッグフードとおやつ
トイレ用品
ケア用品
動物病院

コモンドールとの生活をより快適なものにするために、「飼育スペース・ケージ」「食器類・床材」「首輪やリード・おもちゃ」「ドッグフードとおやつ」「トイレ用品」「ケア用品」「動物病院」などの生活用品や準備を揃えておきましょう。

飼育スペース・ケージ

快適に過ごせるスペースを確保します。サークルは十分な広さを確保できるもので、犬用のベッドやケージ・クレートを用意しましょう。クレートとは箱状の家のようなものであり、犬にとって寝床となったり安心できるものになります。移動するときにも使え、病院へ連れて行くときや災害による避難の際にも活躍します。

日本の気候には飼育が不向きな犬種のため、屋内での飼育が適しています。空調管理が必須とも言えますね。

愛玩動物看護師 渡邉鈴子さん
クレートは普段から慣れさせておくことで、スムーズに動物病院へ連れていくことが可能です。クレートを動物病院へ行くときにしか使用していないと、クレート=動物病院という認識になってしまいます。普段から使用することで防ぐことが可能です。

食器類・床材

ご飯を食べる時に必要な食器を用意しましょう。水のみ用のボウルとフードのためのボウルを別々に準備してあげてください。食器類を選ぶ際は「耐久性はあるか」「滑りにくくないか」「大きさは適切か」といったことを目安に探してみてください。床材についてはすべりにくい材質のものを選び、思わぬ転倒を防ぐために用意しておくと良いでしょう。

首輪やリード・おもちゃ

散歩や運動をするときのために、首輪やリード・ハーネスを準備しましょう。遊ぶためのおもちゃや知育玩具なども用意しておくと、遊びを通して良好な関係性を築くことができますよ。

ドッグフードとおやつ

健康管理のため、年齢に適した高品質の犬用のドッグフードを用意しましょう。初めて犬を飼育する方は、水と餌だけで栄養が賄える「総合栄養食」と書かれたドッグフードを用意するといいですね。飼育に応じて適切な量を与えるようにしてください。絶対に必要というわけではないですが、おやつも同時に用意しておくといいですね。しつけトレーニングの際に「ご褒美」として利用できますよ。

トイレ用品

屋内で飼育する際は、排泄物を処理するための犬用のトイレトレーを用意します。また、トイレトレーニングのために新聞紙やトレーニングパッドも役立ちますので、一緒に揃えておくといいですね。

ケア用品

健康と衛生を保つために、犬用のシャンプーやブラシ、爪切り、歯磨きセットなどのケア用品を用意します。

動物病院

何かあった際や健康管理のために、かかりつけの動物病院も見つけておくと安心です。獣医師の診察や予防接種、必要な薬やサプリメントなどを考慮し予算を立てておくのもいいですね。

コモンドールの購入はブリーダーから?価格は?

コモンドール

日本国内で、コモンドールを繁殖しているブリーダーはほとんど存在しません。

日本の気候に適さない犬種を繁殖させるのは難しく、無理な繁殖は犬にも負担をかけてしまうからです。

日本でのコモンドールの入手方法は輸入に限定されます。輸入での購入価格は時価になるのでその時々で変わりますが、輸送代や輸入代行業者に支払う手数料込みで50~150万円程が相場といわれています。

コモンドールを迎えいれたいときの注意点は?

チェックリスト
コモンドールを迎えいれるには輸入に限られるため、海外のブリーダーと英語で交渉する必要があります。

輸入代行業者を利用するときには、ブリーダーとチャットなどでコミュニケーションをとるよう依頼されることもあります。輸入の難しいポイントは、ブリーダーから送られてくる写真などの資料で、コモンドールの健康状態を判断しなければいけないことです。

正確な健康状態を知るためには、メールやチャットで細かな質問をし、確認してください。

かかりやすい病気は?

コモンドールは被毛が分厚いぶん、皮膚病にかかりやすい犬種です。被毛をかきわけ、地肌が見えるようにした写真をブリーダーに送ってもらうことで、皮膚が健康なのかをチェックできますよ。歩いている姿を動画で送ってもらうことも、コモンドールの健康状態をチェックするうえで大切です。

また、大型犬に多い「股関節形成不全」や「胃捻転」にも気を付けたいので、飼い主さん自身が食事量や運動量を適切に取り入れる必要があります。

股関節形成不全

股関節の骨の形が変形してしまう関節の病気です。犬の中でも特に大型犬に多い病気と言われています。変形した箇所が嚙み合わず炎症を起こし、痛みで動くのを嫌がるようになります。治療法は年齢や状態で様々な方法が提案されます。原因は遺伝的なものと、肥満や激しめの運動があげられますので、日々の健康管理が重要になります。

愛玩動物看護師 渡邉鈴子さん
股関節形成不全では、うさぎ跳びのような歩き方やモンローウォークと呼ばれる腰を左右に振る歩き方をします。このような歩き方をしていたら動物病院を受診しましょう。

胃捻転

何かしらの原因で胃がねじれてしまう病気です。ねじれたことで他の臓器が圧迫され、血液の循環がうまくいかず命を落とす場合も。原因は、食後の急な運動や大量の水のみ、早食いなどが関係しています。遺伝的な要因も持ち合わせていますが、日ごろの生活でも発症するリスクは潜んでいます。食事の回数や運動の方法について、飼い主さんがしっかりコントロールする必要がありますよ。

愛玩動物看護師 渡邉鈴子さん
早食い防止のためのお皿が販売されています。しつけ等でも早食いが治らない場合は購入を検討してもいいでしょう。

初心者には不向き!コモンドールを迎えいれるなら

コモンドール 2
コモンドールは一般的に飼育されているチワワやトイプードルなどの犬種と比べて、特殊すぎる犬種です。

大型犬で被毛が特徴的な、そして日本の気候では難しいといわれているコモンドールと暮らすには、わんちゃんの飼育やしつけについて豊富な知識と経験がある方なら迎え入れるのを検討しても良いでしょう。

反対に、犬と暮らすのが初めての方にはおすすめできません!家や敷地内に十分なスペースがない方も同様です。そもそも日本で飼育されていないことを考えると、その難易度は非常に高いことが分かります。

犬との生活を始めたい方は、知識や経験に適した犬種を検討してみてください。

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