病気が原因の犬の抜け毛について解説!症状や対処法は?

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愛玩動物看護師
監修者:渡邉鈴子

栃木県生まれ。帝京科学大学にて4年間、動物看護学をはじめとした動物関連の科目を学び、2023年5月には愛玩動物看護師免許を取得。これまでにうさぎや猫の飼育経験あり。現在では、ペット栄養管理士の資格取得に向けて勉強中。

犬と生活していく上で必ず直面するのが抜け毛問題ですが、単なる生理現象によるものと病気によるものとがあります。病気の場合にはしっかりと対処する必要がありますので、抜け毛の原因を見分ける必要があります。

この記事では抜け毛の原因や病気、対処法などについてまとめています。

 

犬の抜け毛、原因は?

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犬の抜け毛の原因

病気
生活環境
生理現象

原因その1:病気

病気による抜け毛を脱毛症と呼びますが、脱毛症の原因となる病気にはクッシング症候群や甲状腺機能低下症など内分泌性疾患やアロペシアXなどが原因で脱毛が起こります。

クッシング症候群

クッシング症候群は副腎皮質機能亢進症とも言い、名前の通り、ACTH(副腎皮質刺激ホルモン)が過剰に分泌されてしまうことにより発症します。下垂体が原因の下垂体性と副腎が腫瘍化する副腎腫瘍性に分類されます。

症状は脱毛以外にも多飲多尿や多食、腹部膨満、色素沈着などが起こります。

クッシング症候群での脱毛はかゆみを伴わない左右対称性の脱毛が特徴的です。

甲状腺機能低下症

甲状腺機能低下症は、高齢の犬で多くみられる病気です。甲状腺から分泌されるホルモンは代謝を上げる役割がありますが、甲状腺機能低下症ではそのホルモンが分泌されなくなります。

症状は脱毛以外に、脂漏や低体温、元気・食欲の低下がみられます。

甲状腺機能低下症もかゆみを伴わない左右対称性の脱毛やしっぽが脱毛してしまうラットテールが特徴的です。

アロペシアX

アロぺシアXとは毛の生え変わるサイクルが止まってしまう脱毛症で、原因不明の病気です。

左右対称の脱毛が若齢でみられることが多く、その他皮膚疾患も併発します。

 

原因その2:生活環境

脱毛症の原因としては、アトピー性皮膚炎やノミ・ダニなどの寄生虫、真菌・細菌など不衛生な生活環境による感染症があります。これらは痒みや炎症、発疹などを伴います。

真菌が原因の場合には部分的な脱毛である円形脱毛(10円ハゲ)がみられる事があります。

 

原因その3:生理現象

生理現象としての抜け毛では換毛期というものが年に2回ほどがあります。換毛期は毛が抜けて生え変わる時期の事で、春と秋に起こる事が多いのが特徴です。

特にダブルコートの犬種ではこの換毛期の抜け毛はかなりの量になります。

 

犬の抜け毛、どんな症状?

犬 病気

病気、生活環境が原因の抜け毛の症状は、様々です。

何らかの原因により被毛が抜ける事を抜け毛と言いますが、原因により症状が違います。部分的に見られる場合と、全身に見られる場合があります。

皮膚のかゆみや赤みを伴って発症する場合もあります。皮膚が薄くなったり、黒ずみ、フケが増える、毛艶が悪くなるなどの症状が出る場合もあります。

 

犬の抜け毛、発症しやすい犬種はいる?

犬

原因不明の脱毛であるアロペシアXはポメラニアンやチャウチャウ、キースホンドなど北方系の犬種によくみられる病気であるといわれています。
換毛期の脱毛は柴犬、ウェルシュコーギー、ポメラニアン、ゴールデンレトリーバー、ボーダーコリーなどのダブルコートの犬種にみられます。

 

犬の抜け毛、発症してしまった場合の対処は?

犬

生理現象

病気ではなく生理現象なので、対処する必要がありません。

抜け毛で部屋が汚れてしまう場合にはブラッシングをすることで抜け毛を散らかすことなく取り除くことができますよ。換毛期中のみではなく換毛期以外でも毎日ブラッシングする事で換毛期のブラッシングの負担を軽減する事ができます。

犬のブラッシングの方法やコツについて詳しくはこちらの記事です。

 

病気

ホルモン異常などの病気による脱毛は、早期治療を行う事が大切です。原因不明の脱毛が見られたら早期に獣医師に診察してもらうようにしてください。

薬を用いた治療で治る場合と、完治が見込めず、付き合い続けなければならない場合とがあります。

 

生活環境

ノミが原因による脱毛の場合、ノミ取りを行うのが有効的です。動物病院ではノミ取りを行ってくれる場合がほとんどですよ。
アトピー性皮膚炎やダニ、真菌などが原因の場合は獣医師さんによる治療を行うことになります。アトピーではアレルゲンを排除するのが有効です。アレルゲンの特定には血液検査が必要になります。

 

犬の抜け毛、どんな検査が必要?

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抜け毛の検査方法

皮膚検査
血液検査
アレルギー検査

検査1:皮膚検査

皮膚検査では感染の有無や寄生虫の有無が判断できます。顕微鏡による検査で細菌性、マラセチア性、寄生虫性、培養検査では、糸状菌性、細菌感受性検査がわかります。

原因菌や寄生虫を特定してから最適な薬での治療を行います。

 

検査2:血液検査

症状の発症部位によっては血液検査が行われます。ホルモン異常による場合は血液検査の結果で判断できます。

 

検査3:アレルギー検査

アトピー性皮膚炎の場合にはアレルギー検査によりアレルゲンの特定を行います。環境アレルゲン(ハウスダスト、花粉、カビなど)や食物アレルゲンなどがあります。特定ができたら、アレルゲンになるべく近づかせない、食べさせないようにします。

 

犬の抜け毛、対策するには?

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抜け毛は原因がさまざまなため、特定の対策法がありません。そのため脱毛を引き起こす原因とされるものを排除していく事が大切です。そのために上記の検査を行い原因を特定する必要があります。

外部寄生虫との接触を無くすために野山や草むらを避けたり、生活環境を整えストレスが少なくなるように工夫してあげてください。

 

原因の特定が大切!

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抜け毛の原因は様々ですので、対策が困難な病気です。

換毛期の場合は心配する必要はありませんが、それ以外の時期で抜け毛がひどいようであれば動物病院への受診をおすすめします。原因を特定することで対策をたてることができる場合があるからです。

定期的に健康診断を受けるのもおすすめです。

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