猫の腎臓病ケアにおすすめのフードはある?腎臓に負担をかけない食事についても解説

猫の死因1位とも言われる腎臓病は、残念ながら防ぐ方法はありません。それでも可能な限り腎臓に負担をかけないよう、食事管理を徹底することはできます。

患ってしまうと長い付き合いになります。少しでも進行を遅らせるためにも、腎臓病のあれこれをご紹介します。

そもそも、猫の腎臓病って?
腎臓ケア用のフードとは?
腎臓に負担をかけない食事管理について

などのほか、腎臓病ケアのおすすめのキャットフード4選もご紹介していますので、愛猫のフードに迷っている方は参考にしてくださいね。

全100種類のキャットフードをいくつかの基準をもとに徹底調査、検証!
愛猫にあったキャットフードの選び方、探し方を以下の記事でご紹介しています!

猫の腎臓病とは?

猫 かわいい 素材

腎臓病の特徴

腎臓病には、大きく分けて「慢性腎臓病」と「急性腎障害」の2種類があります。

腎臓は尿をつくる器官です。腎臓に限らず、高齢になると様々な病気にかかりやすくなりますので、高齢になった猫の健康管理には、与えるフードや日々の行動の変化などに注意が必要です。

猫の腎臓病の発生率はとても高く、一度腎臓病にかかってしまうと治療をしても健康な頃のように戻すことが難しいと言われています。

慢性腎臓病

「慢性腎臓病」は、数ヶ月〜数年かけてゆっくりと腎臓の機能が低下していく病気です。進行がゆっくりのため、見ていてもなかなか気がつかないこともあるかもしれません。

「食欲低下」「痩せる」「多飲多尿」「骨が弱くなる」「貧血」「口臭」「毛艶が悪くなる」といった症状が見られることも多いですが、まったく症状がないのに慢性腎臓病になっていた、ということも起こり得ます。

慢性腎臓病が進行すると「尿毒症」になります。加齢や遺伝が主な要因ですが、水腎症や糖尿病などの病気から引き起こされる場合もあります。

猫の慢性腎臓病は4つのステージに分けられています。

ステージ1

ぱっと見の変化はなく、症状もほとんどありません。血液検査でも異常は出ませんが、尿検査で異常が見つかることがあります。

腎臓の機能は通常の30%程度まで落ち込みます。

ステージ2

症状はほとんどないか、症状が出ても「多飲多尿」程度です。腎機能が低下しているため、おしっこを大量に排出するようになります。

猫はもともと水をあまり飲まないので少量の濃いおしっこ出すのが通常ですが、腎機能が低下するとおしっこが大量に出てしまうので、体の水分が不足して水をたくさん飲むようになります。

他の症状はほとんど見られないので、この段階で気がつくのは難しいかもしれませんが、おしっこがいつもと違うと感じたら、ためらわずに病院へ連れていってあげてくださいね。

この段階で、腎機能は25%まで落ち込みます。

ステージ3

ステージ3になると食欲不振、嘔吐、脱水などの症状が見られるようになるため、このステージで異常に気がつく飼い主さんが多いようです。

老廃物、有害物質の排泄ができなくなるため、尿毒症も進行してしまいます。血液中を巡る尿毒素が粘膜を荒らし、口内炎や胃炎にもかかりやすくなってしまいます。

腎機能は10%まで落ち込みます。

ステージ4

ステージ4になると尿毒症が悪化してしまい、腎機能は5%ほどまで低下します。治療していないと生命維持が困難な状態です。

引用元:病気と上手く付き合おう(03) <犬や猫の慢性腎臓病について>

急性腎障害

「急性腎障害」は、「急性腎不全」とも呼ばれます。数時間から数日で腎臓の機能が低下する病気です。

腎臓そのものに異常がある場合と、別の病気が原因で誘発される場合があり、急性糸球体腎炎、ネフローゼ症候群、心不全、熱中症、下部尿路症候群などの病気が原因になることも多いです。

また、毒物を誤飲した急性中毒で発症することもあります。猫にとって、人間用の薬や百合などが毒物となります。百合は、花だけでなく茎などのどの部分でも猫にとっては有毒です。

中毒は急速に進行するので、まずは誤飲させないように気をつける必要があります。誤飲してしまった場合には、すぐに病院へ連れていきましょう。

初期症状を見逃さないで

急性腎障害の初期症状としては、食欲や元気がなくなり、水を飲む量が減ります。それからおしっこの量が減ったり、全然出なくなったりします。

その後、脱水、嘔吐、体温の低下、痙攣などの症状がみられます。

急速に症状が悪化する急性腎障害ですが、慢性腎臓病とは違って、初期段階で治療をすれば腎機能の回復も見込めます。

「なんか、いつもと違うな…」
「あれ?今日おしっこしてないな…」

など、異変に気がついたらすぐに動物病院へ連れていくようにしましょう。

腎臓病のサインとは?その対策法は?

腎臓病になってしまった猫には、以下のようなサインがあります。

水をいつも以上に飲むようになり、尿の量が増えた
体重が減った
尿のニオイが減った
毛並みが悪くなった、ぼそぼそになった
食欲がない
口臭や歯ぐきに白みが目立つ

もしこのような症状が出始めたら腎臓病かもしれません。上記に限らず普段と様子が違ったりおかしかったりしたら、動物病院に連れて行ってあげることをおすすめします。

腎臓病のケアには、愛猫にあげるフードに気をつける必要があります。

高タンパクのフードを避ける

体内での分解がうまくいかずに残ってしまったタンパク質は老廃物となり、腎臓機能を悪化させてしまう可能性があります。成分量の30%を大きく超えるようだと、タンパク質が多すぎるフードということが出来ます。

ただ、猫にとってタンパク源は最も重要な栄養素の1つです。タンパク質が少なかったり、粗悪なタンパク質(植物性タンパク質)が含まれるフードはおすすめできません。

もしかかりつけの獣医さんがいるのなら、獣医さんと相談して適切な成分量のフードを選ぶようにしてくださいね。

リンやナトリウム(塩分)の含有量が高いものは避ける

腎臓が弱っていると、リンやナトリウム(塩分)などを体内で分解・排泄することができず、不要物が身体にたまってしまいます。その結果、多飲多尿や高血圧などに陥りやすくなります。

リンやナトリウムの含有量が多すぎないフードを選んであげるのがおすすめです。

病気の進行度に応じてフードを選ぶ

ナトリウム摂取の制限が必要となる場合がありますが、病気の進行に応じて行われるべきです。

初期の腎臓病では塩分付加による高血圧との関連は認められていないこともあり、療法食ではなくシニア用の総合栄養食(腎臓に配慮されているもの)を活用することも。

キャットフードの選択は必ず獣医師と相談のうえ決めてください。

予防するために心がけたいことまとめ

腎不全の予防には、リンやナトリウムなどの塩分を控えた栄養バランスのとれた食事が必要です。また、いつでも新鮮な水が飲めるような環境を整えてあげましょう。

愛猫が一日にどれくらい水を飲んでいるか飲水量をはかるとともに、おしっこの回数や色、量のチェックをしてください。多飲多尿の症状がみられた場合、早めに動物病院に相談、診察を受けましょう。

他の病気が原因で引き起こされる可能性があるため、定期的な血液検査や尿検査などの健康診断を受けることも大切。

引用元:腎不全 <猫>

腎臓病ケアに適したキャットフード、選び方のポイントは?

猫 素材

腎臓病ケア用のフードとは、腎臓病を患った猫に与える療法食のことを指します。

腎臓に負担をかけるリンの含有量を制限し、タンパク質や必須脂肪酸の含有量を調整していますよ。

ただ、療法食は猫の体に必要不可欠な成分を制限しているフードなので、飼い主さんの自己判断で選ぶのではなく、動物病院で診察を受けて獣医師の指導の下で療法食を与えるようにしてください。

腎臓に負担をかけない適したキャットフード、選び方のポイント

  • 肉が主体
  • リン・ナトリウムの含有量が少ない
  • オメガ3脂肪酸が含有されている

1. 肉が主体

腎臓病ケアで大切なことは十分な量のタンパク質を摂取することではなく、適切なアミノ酸バランスを保つことで使用されないアミノ酸が有毒物を生成しないようにすることです。

肉食動物である猫が必要とするアミノ酸は肉に多く含まれているので、肉を主原料に使用しているフードを選ぶようにしてください。

注意点

科学的な根拠はありませんが、腎臓病を患っているとタンパク質を消費した時に出る老廃物や毒素などを尿に排出する機能が低下するという報告もあります。

必要以上にタンパク質を摂取すると体内で上手に分解できなかったタンパク質が老廃物となり、腎臓機能をさらに悪化させることになります。タンパク質の摂取量には注意するようにしてください。

2. リン・ナトリウムが少ない

リン(AAFCO最低基準)

  • 子猫:0.8%
  • 成猫:0.5%

ナトリウム(AAFCO最低基準)

  • 子猫:0.2%
  • 成猫:0.2%

腎臓病になると、体内の水分バランスやミネラルバランスを調整する機能が低下します。

不要なリンやナトリウムなどの電解質をうまく排出できなくなるので、過剰摂取になりやすく高血圧などの原因になります。腎臓病を悪化させないためにも、リンやナトリウムが少ないフードを選んであげることが大切ですよ。

ただし、AAFCOの定める最低摂取量を下回るようなフードは望ましくありません。これは猫の必要な栄養の最低限度を示すものであり、基準に満たないと健康に支障が出る可能性が高くなります。

引用元:AAFCOの養分基準 阿部又信 解説

3. オメガ3脂肪酸

特にEPA(エイコサペンタエン酸)とDHA(ドコサヘキサエン酸)の2つの脂肪酸が注目されています。これらの脂肪酸は炎症の抑制、血圧の調節、血液凝固の抑制など、さまざまな健康効果があると考えられています。

腎臓病の猫では慢性的な炎症が発生することがあり、オメガ-3脂肪酸はその炎症を軽減する可能性があります。

腎臓病のケアにおすすめキャットフード

【総合栄養食】ピュリナワン 高齢猫用(11歳以上) 優しく腎臓の健康サポート

ピュリナ ワン 高齢猫用(11歳以上) 優しく腎臓の健康サポート チキン

おすすめポイント

  • シニア猫のための適切なタンパク質量
  • 関節の健康維持に配慮
  • 合成着色料・香料無添加

品質・価格ともに優れており人気のピュリナワンのラインナップである、高齢猫用 優しく腎臓の健康サポート(総合栄養食)。

高齢期の猫の腎臓の健康維持を考慮して、良質なタンパク質を適切な量で配合しています。整腸作用や腸内細菌を増やす作用などが知られているオリゴ糖も配合。

気になるタンパク質は36%以上、リンは0.9%となっています。療法食ではなく総合栄養食なので、そこまで極端にタンパク質とリンを抑えたフードではありません。

シニアの腎臓病になっていない子のごはん、腎臓病ではあるが初期段階で療法食に切り替える前の段階のごはんとして検討してみてください。

【療法食】ヒルズ プリスクリプションダイエットk/d 腎臓ケア

ヒルズ プリスクリプションダイエット キャットフード k/d ケイディー ツナ 猫用 特別療法食の商品画像

おすすめポイント

  • 低リン、ナトリウム量を調整
  • 食欲を刺激する製造方法採用
  • 腎臓病の猫の生活の質向上に役立つと科学的に証明済

「獣医師をサポートし、ペットの未来を変える特別療法食」として、病気を患う犬や猫の生活をサポートしているヒルズの療法食シリーズ。

腎臓病のねこちゃんのためにリンを調整し、低ナトリウムかつオメガ-3脂肪酸が含まれているフードです。

一度腎臓の機能が低下すると、その状態を回復させることは難しいと言われています。腎臓病の子のために作られた療法食であれば、体内の体液量やミネラルバランスを調整することができます。

本フードは、愛猫の生活の質(QOL)が向上することが科学的に証明されています。獣医師が必要だと判断した際に与えるのが療法食であり、飼い主さんの独断で与えるのは止めましょう。

事前に防げる原因はあらかじめ取り除いておこう!

猫 かわいい 素材

腎臓の機能が年々低下していき、15歳以上の猫の80%が腎臓病を患っていると言われています。猫の宿命とも言われていますが、腎臓の機能が3分の2失われて初めて症状が現れることが多く早期発見が難しいです。

若いころから定期的な健康診断を受けるのはもちろん、塩分の控えめなキャットフードを与えること、新鮮な水がいつでも飲める環境にしておくこと、など普段から腎臓に負担をかけない工夫が大切です。

多飲多尿など、愛猫に普段と違う様子がみられたら早めに動物病院を受診してくださいね。