カクレクマノミの飼い方まとめ。必要な水槽・水温、餌は?混泳は?

熱帯魚のカクレクマノミを飼う時は、どんな環境を準備すれば良いのでしょうか。

この記事では、カクレクマノミの飼育に最適な水槽や水温、餌や混泳についてまとめました。

 

カクレクマノミの特徴は?

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カクレクマノミは、体長8~10cm程の小型の海水魚です。

フィジーやトンガなどのサンゴ礁で見られ、日本では沖縄周辺や奄美大島以南で見ることができます。

カクレクマノミの性別は、生まれた時点では全てオスで、集団の中で一番大きな個体がメスへ性転換するという特徴があります。メスが死んでしまったり、集団からいなくなったりすると、次に大きな個体がメスに変わります。

 

カクレクマノミの飼育、値段や購入方法は?

カクレクマノミ

カクレクマノミの値段

  • 約1,000円

カクレクマノミには、国内で繁殖させたものと野生で捕獲したものがあり、値段はどちらも1,000円ほどです。ペットショップやホームセンター、インターネットで購入できますよ。

国内で繁殖されたものは、生まれた時から水槽育ちなので飼育が簡単です。

カクレクマノミ値段について詳しくはこちらの記事です。

 

飼育費用

カクレクマノミの飼育にかかる費用は、概ね次の通りです。

設備 金額
水槽 3,000円~
海水 1,000円(50L)
フィルター 1,500円~
ヒーター・クーラー 2,000円~
海水用比重計 1,000円~
カルキ抜き 200円~
ライブロック 3,000~10,000円
サンゴ砂 1,000円

この他に電気代と、人工海水のランニングコストがかかります。

2~3万円程度の予算があれば、カクレクマノミを飼育することができますよ。

 

カクレクマノミの飼育、必要なものは?

カクレクマノミ
カクレクマノミを飼育するには、まず30cm以上の水槽を用意します。飼育数の目安は2匹です。数を増やす場合は、それに合わせて水槽も大きくします。

水槽の他に、次のものが必要ですよ。

飼育に必要なもの

  • 海水
  • フィルター
  • ヒーター・クーラー
  • 海水用比重計
  • カルキ抜き
  • ライブロック
  • サンゴ砂

海水

水道水に「人工海水」を溶かして作ります。安価なものでも十分ですよ。最適比重は1.023前後です。

 

フィルター

水槽の大きさに合ったフィルターを選びます。水換えの頻度を少なくしたい場合は、大きなフィルターを設置すると良いですよ。

 

ヒーター・クーラー

カクレクマノミに最適な水温は、26℃前後です。ヒーターとクーラーを使って水温を一定に保ちます。

 

海水用比重計

海水の比重を調べるために使います。比重が合わないとカクレクマノミに負担がかかるので、海水を作るたびに測定します。

 

カルキ抜き

水道水に含まれているカルキは、海水魚にとって有害です。人工海水を作る際、カルキ抜きを使って中和する必要があります。

 

ライブロック

海の中にある自然の岩で、水槽の水の浄化に欠かせません。30cm水槽で約2kg、60cm水槽で約5kgが目安です。

 

サンゴ砂

水槽の底に、約2~3cmほどの厚さに敷き詰めます。水質を海水魚に適したアルカリ性に保ちやすくしてくれます。

クマノミの飼い方について詳しくは、こちらの記事にもまとめています。

 

カクレクマノミ、飼育に最適な水槽は?

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水槽の大きさ 適切なカクレクマノミの数
30cm 1~2匹
45cm 3~4匹
60cm 5~7匹

水槽にはさまざまなサイズがあります。水槽が大きいほど海に近い環境を作れますが、置き場の確保が大変ですし、管理にも苦労します。

初心者の方におすすめのサイズは60cmです。カクレクマノミを5~7匹ほど飼育するのに程よい大きさで、価格もリーズナブルですよ。

水槽には濾過(ろか)フィルターも設置してくださいね。

フィルターについて詳しくはこちらの記事です。

 

水槽のセットの仕方

水槽のセットは、次の手順で行います。

1.水槽に飼育に必要な設備をセットする。
2.洗ってきれいにしたサンゴ砂を底に敷く。
3.水槽に水道水を7割程度注ぐ。
5.設備の電源を入れる。
6.人工海水を使って海水を作る。
7.ライブロックを入れる。
8.フィルターを空回しして約1ヶ月待つ。
9.水槽の4/5の量の水を換える。

時間はかかりますが、これで安心してカクレクマノミを飼うことができますよ。

 

カクレクマノミ、飼育に適した水温は?

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水温

  • 26℃前後

カクレクマノミは、およそ26℃に保たれた快適な海の中で暮らしています。水槽で飼う場合も、水温を26℃前後に保つようにします。

水温の管理にはヒーターやクーラーが必要です。ヒーターにはたくさんの種類がありますが、60cmの水槽の場合は「200ワット」のモデルがおすすめですよ。

 

カクレクマノミの餌は?

カクレクマノミ

おすすめの餌

  • 人工飼料
  • 生き餌

カクレクマノミの餌は、ペットショップなどで購入できる海水魚用の「人工飼料」と「生き餌」です。

朝晩の1日2回、2~3分で食べきれる量を与えますよ。数種類の餌を試して、食いつきの良いものを選びます。

 

人工飼料

人工飼料は大きく「顆粒タイプ」「フレークタイプ」「クリル」の3つに分かれます。

顆粒タイプは、小さな熱帯魚が食べやすいサイズに加工された餌です。水槽に入れるとしばらく水に浮き、徐々に沈むのが特徴です。カクレクマノミの餌には顆粒タイプがおすすめですよ。

フレークタイプは名前の通り、細かいフレーク状になっていて水に沈みません。食べやすいですが水質悪化の原因になりやすいです。

クリルは小型のエビを乾燥させたもので、少し大きめな熱帯魚向けの餌です。カクレクマノミにはあまり向きません。

 

生き餌

生き餌は「アミエビ」や「ブラインシュリンプ」などです。カクレクマノミの餌としてはぴったりですが、用意が大変なうえに栄養がかたよる可能性があります。

基本的には顆粒タイプの人工飼料を与えて、生き餌はおやつとしてあげてみてはいかがでしょうか。

 

カクレクマノミの飼育、注意点は?

カクレクマノミ
直射日光の当たらない場所に水槽を設置します。万が一地震で落下しないように、壁や床に固定したり、水槽の下に滑り止めマットを敷いたりすると良いですよ。

丈夫で飼育しやすいカクレクマノミですが、水温や水質が合わないと弱ってしまいます。弱ると白点病などの病気にかかる可能性が高くなるので、水槽のメンテナンスはこまめに行う必要があります。

 

カクレクマノミの飼育、混泳できる?

カクレクマノミ
カクレクマノミは温和な性格なので、他の魚と混泳させることができますよ。中でも「ハタタテハゼ」や「ネオンダムセル」との相性は良いです。

 

混泳できない海水魚

カクレクマノミにも相性が悪い海水魚がいます。飼育が難しい魚との混泳も、避けることをおすすめします。

混泳できない海水魚

  • クマノミの仲間
  • 小型スズメダイ
  • ナンヨウハギ
  • キイロサンゴハゼ

クマノミの仲間

クマノミは、性格が荒いスズメダイの仲間に属します。好みの場所もカクレクマノミと同じで、縄張り争いのケンカになると、相手が死ぬまで戦うことがあります。

 

小型ススメダイ

小型のスズメダイは人気の海水魚ですが、性格がきつくカクレクマノミをいじめることがあります。カクレクマノミのほうが体が大きく、サイズの大きな水槽で飼える場合は混泳可能です。

同じ小型スズメダイでも「デバスズメダイ」は例外で、カクレクマノミとの相性は良いですよ。

 

ナンヨウハギ

ナンヨウハギは、飼育難度が高い海水魚です。成長のスピードが速く、あっという間に大きくなるので、小さな水槽だとストレスで弱ってしまいます。病気にもかかりやすく、カクレクマノミ用の簡素設備では死んでしまう場合があります。気性が荒い面もありますよ。

 

キイロサンゴハゼ

安価でかわいいキイロサンゴハゼは、カクレクマノミとの相性も良いですが、飼育が難しい種類です。餌の管理が難しく、最低でも1日2回の給餌が必要で、怠ると餓死してしまいます。

 

カクレクマノミの飼育、イソギンチャクと共生させるべき?

カクレクマノミ
イソギンチャクの飼育は難しいので、最初はカクレクマノミだけで飼うのがおすすめです。イソギンチャクが死ぬと水質が悪化して、カクレクマノミにも悪影響を及ぼします。

ある程度慣れてから、イソギンチャクの飼育にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。

 

初心者におすすめのイソギンチャク

初心者におすすめのイソギンチャクは、次の2つです。

おすすめのイソギンチャク

  • サンゴイソギンチャク
  • タマイタダキイソギンチャク

イソギンチャクの中では飼育しやすい種類で、価格も1,500~3,500円ほどです。

本来カクレクマノミが好んで入るのは「ハタゴイソギンチャク」と「センジュイソギンチャク」ですが、飼育が難しく価格も5,000~10,000円前後と高価です。

 

カクレクマノミの繁殖方法は?

カクレクマノミ
繁殖を成功させるには、カクレクマノミのペアを最高の状態で飼う必要があります。強力なフィルターを使用し、冷凍餌や生き餌で十分な栄養を与えます。安心感を与えるため、水槽にはペア以外の魚を入れないようにすると良いですよ。

自然界ではイソギンチャクのすぐ近くの岩に卵を産みますが、産卵経験がある個体であれば、イソギンチャクは不要の場合もあります。

産んだ卵は親が世話をして、約1週間でふ化します。卵は水槽が暗くなってから1時間ほどでふ化を始めるので、ふ化が予想される日には照明が切れるタイミングでフィルターも止めます。

ふ化したら、稚魚が親に食べられないように隔離します。稚魚は少しの水流でも死んでしまうため、周りの水ごとプラスチックケースなどでそっとすくうのがおすすめです。フィルターを止めている間は、こまめな水換えが必要ですよ。

餌は初期はワムシを培養し、途中から生きたブラインシュリンプを与えます。

カクレクマノミの繁殖方法について詳しくはこちらの記事です。

 

カクレクマノミの種類は?

カクレクマノミ
クマノミの仲間は、世界中の熱帯のサンゴ礁に生息しています。どの種類もイソギンチャクと共生していますよ。主なクマノミの種類は次の通りです。

主な種類

  • カクレクマノミ
  • クマノミ
  • ハマクマノミ
  • ハナビラクマノミ
  • トウアカクマノミ

カクレクマノミ

体色はオレンジで、「目のうしろ」「胴」「尾ひれの付け根」に白い帯状の模様が入ります。ひれは黒や白でふちどられています。クマノミの中では比較的おとなしい種類です。「ハタゴイソギンチャク」「センジュイソギンチャク」を好み、 西太平洋の熱帯域に生息しています。

 

クマノミ

体の上半分が黒で、下あごから腹びれのうしろまではオレンジ色をしています。「頭」「胴」「尾びれのつけ根」に白い帯状の模様が入り、カクレクマノミより体高がある丸い形をしています。「ハタゴイソギンチャク」「シライトイソギンチャク」を好み、太平洋とインド洋の熱帯域に生息しています。

 

ハマクマノミ

全身オレンジ色をしていて、目のふちに白い帯状の模様が入ります。「タマイタダキイソギンチャク」を好み、西太平洋とインド洋の熱帯域に生息しています。

 

ハナビラクマノミ

他のクマノミと比べると体色が淡く、小型の種類です。性格がおとなしいのが特徴ですよ。「センジュイソギンチャク」「シライトイソギンチャク」を好み、西太平洋の熱帯域に生息しています。

 

トウアカクマノミ

体の上半分が黒で、口から尾びれのうしろまで赤い色をしています。目と体のうしろに白い模様が入ります。「イボハタゴイソギンチャク」を好み、西太平洋の熱帯域に生息しています。

 

カクレクマノミの種類、3タイプいる?

カクレクマノミ
カクレクマノミには、飼育の難易度や見た目が異なる3タイプがいます。

3タイプ

  • ブリード
  • ワイルド
  • ペア

ブリード

人工的に繁殖させた個体で飼育が容易です。人の手で育てられたため、人工餌や人工海水に慣れていますよ。白い帯模様が途中で切れているイレギュラーな個体がいたり、イソギンチャクに入らなかったりする場合があります。

 

ワイルド

海で捕まえた野生のカクレクマノミを「ワイルド」と呼びます。体が大きい個体が多く、丈夫で混泳にも向いていますよ。イソギンチャクに入りやすく、体色も鮮やかで魅力的です。ブリードの個体と違い、餌付かせる必要があります。

ワイルドには、「深場タイプ」と「浅場タイプ」がいますよ。

 

深場タイプ

水深の深い所に生息していたカクレクマノミが「深場タイプ」です。オレンジ色が鮮やかで黒ぶち模様が少ないのが特徴です。流通量が少なく価格も高くなりますよ。

 

浅場タイプ

水深の浅い所に生息していたのが「浅場タイプ」です。太陽光から身を守るため、オレンジ部分に黒色が入ります。

 

ペア

オスとメスのセットで販売されているのが「ペア」です。繁殖にチャレンジしたい場合は、ペアで購入するのがおすすめですよ。縄張り争いをすることがないので、安心して混泳させることができますが、時にはペアが解消され不仲になることもあります。

 

カクレクマノミが過ごしやすい環境で育ててあげよう

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カクレクマノミは見た目もかわいく、イソギンチャクから見え隠れする姿に癒されます。

環境が整っていないとカクレクマノミもイソギンチャクも健康的に育ちません。飼育する際には記事中で紹介した用具を揃えて、カクレクマノミとの生活を楽しんでくださいね。