トラフズクの特徴は?生態や分布、鳴き声は?

トラフズクはフクロウ目フクロウ科トラフズク属に分類される野鳥です。トラフズク属で最初に発見・登録された「模式種」です。新たに発見された野鳥をトラフズク属に分類する際に、トラフズクをお手本とするのです。

日本では「ミミズクといえばトラフズク」といえるほど知名度の高い野鳥です。ペットショップでも売られていますが、販売用の個体は輸入されたものですよ。

今回の記事ではトラフズクの特徴や生態、分布、鳴き声についてまとめました。

 

トラフズクの特徴は?

トラフズク

大きさ

  • 35~40cm

外見の特徴

  • 羽角
  • 褐色の体
  • トラもよう

トラフズクの大きさは全長35~40㎝で、翼を広げると約98㎝です。ハトよりもひと回り大きいサイズですね。フクロウの中では中型の種類です。

ウサギの耳のように伸びた羽は「羽角(うかく)」と呼ばれ、こげ茶色をしています。見た目は耳のようですが羽なので寝かせることもできます。本当の耳は目の横についていますよ。目の色はオレンジ色です。

頭から背中は灰色で茶色の、腹面は黄土色でこげ茶色のたてしまがあります。トラのような斑(フ)があるので、トラフズクと名前がつきました。漢字では「虎斑木菟」と書きますよ。

オスメス同色ですがメスは胸のたてしまが太めですよ。羽音をたてずに餌に近づくことができるよう、翼の羽は先がやわらかく進化しています。

トラフズクは地域によって体の色が異なります。ペットショップで見かける個体は輸入されたものなので日本の個体とは、少し違う色合いの場合もありますよ。

 

トラフズクの生態は?

トラフズク

生態

  • 夜行性
  • 枝に擬態
  • 優れた聴覚
  • メスのみ抱卵

夜行性

トラフズクは単独行動かペアで行動します。夜行性なので昼間は眠っていて夜になると餌を探しますよ。動物食で小型の哺乳類や鳥類、昆虫を食べています。特にネズミを好みますよ。

大きな足で餌を捕まえます。ネズミなどの小動物は後頭部を噛んで弱らせてから捕らえますよ。冬の間は数羽の小さな群れを作って越冬することもあります。

 

枝に擬態

木で休んでいる時に敵が近づくと体を細く伸ばし、枝に似せたポーズをして目立たなくなります。「羽角」もピンとまっすぐ伸ばしますよ。長い翼も下のほうに伸ばします。

 

優れた聴覚

左右の耳の位置が少しずれており、夜でも餌となる動物の動きを正確に音で感じ取ることができます。同じ音でも時間差で聞こえるようにすることで、獲物の正確な位置を特定するのです。

 

メスのみ抱卵

トラフズクはカラスやタカの古巣、リスの古巣、地面のくぼみを巣にします。卵は1度に4~5個産みますよ。卵はメスだけが温め、オスは巣の見張りと餌探しをしますよ。

25~30日でふ化するとオスはヒナの分も餌を探してきます。夜行性ですがたくさんの餌が必要になるので、夕方から行動するようになりますよ。

ヒナがかえると、オスメス交代で巣のヒナを守る個体もいますね。

 

トラフズクの分布は?どこに生息している?

トラフズク

トラフズクは日本中で見られます。繁殖は本州北部と北海道で行いますよ。本州以北では「留鳥」ですが一部の個体は「漂鳥」となって、本州以西で越冬しますよ。

低山や平地の「森林」「草原」「農耕地」に生息していますよ。翼が大きいので、木々が密集している森はあまり好みません。「疎林」と呼ばれる、木々がまばらな森林をすみ家とします。

 

トラフズクの鳴き声は?

トラフズク

トラフズクのさえずりは「ウー」「ホゥー」と低い声で繰り返し鳴いて求愛や縄張りの宣言をしています。巣立ちを迎えたヒナは「ギャン」と犬のように鳴くことがあります。

 

年々減少するトラフズク

トラフズク

トラフズクは数が減少しつつあり、栃木県ではレッドリストに名前が載っています。繁殖期のカメラ撮影は、トラフズクにとって妨げとなりますね。落ち着いた環境で子育てをさせてあげるためにもマナーを守って野鳥を観察したいものです。