ヤマドリの特徴は?生態や分布、鳴き声は?

ヤマドリは、キジ目キジ科の鳥に分類される日本固有種です。

個体数が少なく亜種の中には準絶滅危惧種に指定されているものもいるため、現在では研究団体により人工的な繁殖も進められていますよ。

この記事では、ヤマドリの特徴や生態、分布、鳴き声をまとめました。

 

ヤマドリの特徴は?

ヤマドリ1
大きさ オス: 120~130cm
メス: 55~60cm
外見の特徴 濃い赤オレンジ色の体色
目の周りにある赤い裸出部
灰・オレンジ・黒色の横帯模様があるしっぽ
白い羽縁がある体上面

ヤマドリのオスは全身が濃いオレンジ色で、体上面と体下面には白い羽縁があります。目の周りは赤く裸出しており、まるで歌舞伎化粧をしたような顔立ちが見事なものですよ。

オスは特に赤味が強く、90cmにも及ぶことがあるしっぽはタケノコのような節状の模様をしています。

メスはほぼ全身が淡い赤褐色(赤みがかった茶色)をしており、しっぽはオスに比べると短いという特徴がありますよ。

 

ヤマドリの生態は?

ヤマドリ2

生態

  • 一夫一妻制
  • 繁殖
  • ほろ打ち(ドラミング)
  • 雑食性

一夫一妻制

ヤマドリの繁殖形態は「一夫一妻制」です。

ヤマドリのオスが複数のメスを連れている姿が目撃されていたため一夫多妻と考えられていましたが、「オスが求愛行動をするのは同じ群れの中にいる決まったメス1羽だけ」「残るメスはこの番(つがい)のヒナ鳥で、巣立ちの時期まで親子で行動していただけ」ということが津市久居野村町の獣医師が行った7年間にわたる生態調査によって判明しました。

 

繁殖

ヤマドリは林の中のシダやスギ、ヒノキなどが密生する場所の地表に窪みを掘って営巣します。巣は、木の葉や枯れ草・羽毛を敷いた直径20cm・深さ9cmほどの大きさですよ。

一腹卵数は6~10個で、約24~25日のメスによる抱卵を経て孵化します。ヒナは孵化後すぐに巣を離れますよ。

 

ほろ打ち(ドラミング)

繁殖期になると、ヤマドリのオスは「ほろ打ち(ドラミング)」という、羽を打ち鳴らす独特な求愛行動でメスの気を引きます。

「ドドドッ」というその低い音はオートバイのエンジン音のようにも聞こえますよ。

 

雑食性

ヤマドリの食性は雑食性です。

「植物の種」や「実」を主に食べますが、「クモ」などの小さな昆虫や「ナメクジ」などの無脊椎動物も食べますよ。

 

ヤマドリの分布は?どこに生息している?

ヤマドリ

ヤマドリは亜種を含め日本の固有種で、本州、九州、四国で見ることができます。

主に1500m以下の山地に生息し、藪の中や雑木林の中で単独または数羽の群れを作って暮らしていますよ。

生息する地域によって5つの亜種に分けられており、南に生息するものほど体の赤みが強いのが特徴ですね。

 

ヤマドリの鳴き声は?

ヤマドリは「ホホホホ」「ホッホッホッ」「ホー、ホー」と低く断続的に鳴きます。

ただ、くつろいでいる時や外敵に追われている時などにしか鳴かないことでも知られているので、鳴き声を聞くのは難しいかも知れませんね。

鳴き声の代わりにオスは「ほろ打ち(ドラミング)」を行いますよ。

 

年々減少しているヤマドリ

ヤマドリ3
日本の固有種であるヤマドリ。

国のレッドデータブック(絶滅危惧種のリスト)にはまだ名が載っていませんが、その数は1970年代から確実に減少に向かっており、分布する地域によっては絶滅が心配されています。

「万葉集」にもその名が見られるほど古くから存在しているヤマドリを後世に残すためにも、手厚い保護が望まれますね。