犬の車酔い、原因と症状、対策まとめ。薬は飲める?

  • 愛玩動物看護師
  • 監修者:渡邉鈴子
栃木県生まれ。帝京科学大学にて4年間、動物看護学をはじめとした動物関連の科目を学び、2023年5月には愛玩動物看護師免許を取得。これまでにうさぎや猫の飼育経験あり。現在では、ペット栄養管理士の資格取得に向けて勉強中。

犬と生活していく中で、おでかけや病院に連れて行くときなど、車での移動は必要不可欠ですよね。しかし、犬も人間と同じように車酔いすることがあります。

この記事では、犬の車酔いの原因と症状、対策、酔い止め薬についてまとめました。

 

犬の車酔い、症状は?

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車酔いの初期症状

  • 落ち着きをなくす
  • そわそわする
  • 吠える

犬が車に酔うと「落ち着きをなくす」「そわそわする」「吠える」といった症状がみられます。

次第に「あくびをする」「震える」「よだれをたらす」「口の周りなどをなめる」「パンティングが多い」などの症状が現れ、ひどくなると「嘔吐する」ようになります。

特に、よだれや口の周りをなめるのは嘔吐する兆候でもあります。

車酔いしやすい犬の場合、車に乗ってすぐに吐いてしまうこともあります。

犬を車に乗せる時は、吐いてしまった時のことを考えてトイレシートやビニール袋を準備しておくと安心ですよ。

 

犬の車酔い、原因は?

犬_ドライビング

車酔いの原因

  • 三半規管への影響
  • 過去の嫌な記憶
  • 不安感

人間と同じく、平衡感覚をつかさどる「三半規管」に影響が出ることで犬も車酔いをします。揺れ続けることで「目に見える映像」と「感覚」とのずれが生じ、車酔いをしてしまいます。平衡感覚が優れているポメラニアンやフレンチブルドッグは車酔いをしやすい傾向にあります。

個体差はありますが、足が細くバランスが取りづらい犬や車酔いしやすい犬は車酔いをしやすい傾向にあります。

車という慣れない空間でのストレスや、以前に車に乗って嫌な思いをした、などの精神的要因も車酔いに繋がります。

環境の変化に弱い、神経質であったり繊細な性格の犬も車酔いしやすいといえます。

 

犬の車酔い、対策は?


犬の車酔いの症状が現れたら、できるだけ早く休憩して犬の体を休ませてあげてください。嘔吐してしまった場合も騒がず、冷静に片付けるようにします。

「犬の車酔い、原因は?」で紹介した「三半規管への影響」「過去の嫌な記憶」「不安感」の3つの車酔いの原因ごとに、対策をまとめました。

 

「三半規管への影響」の場合

急加速や急ブレーキを頻繁に行う運転は三半規管への影響が大きいです。

愛犬を乗せている時は、できるだけ一定の速度で運転してあげるようにしてあげてください。

 

「過去に嫌な記憶がある」場合

ドッグランなど愛犬が「楽しい思い」ができる場所に、車で向かうようにすると良いです。

例えば車に乗るときは動物病院にしか行かないとなると車=病院になってしまいます。

車に乗ることにプラスのイメージを持てるようになると、車酔いは少し和らぎますよ。

 

「不安感」の場合

普段とは違う慣れない空間は精神的なストレスになります。少しでも不安を取り除いてあげられるように、優しく声をかけてあげてくださいね。

 

犬の車酔い、対策は?

犬_運転中
犬の車酔いは事前の対策で回避・軽減することができます。

 

いきなり長時間のドライブに連れて行かない

子犬の頃から、徐々に車に慣れさせていくことで車酔い対策になります。最初は10分程度のドライブから始め、犬の様子を見ながら徐々に乗車時間を伸ばしていきます。

家から目的地まで到着したら、たくさん褒めてあげてくださいね。

 

振動や犬のストレスを軽減するクレートやキャリーを用意する

犬の平衡感覚は、人間と比べて非常に優れているので車の移動中に伝わってくる振動や揺れに対しても敏感です。人間よりも三半規管に影響が出やすい動物といえます。

クレートを利用する際には、クレートを安定する位置に設置をし、車の進行方向と同じ縦向きに設置しましょう。その際にシートベルトなどで固定をするとより効果的です。さらに、クレート内にタオルを入れるといいでしょう。揺れ対策にもなりますし、安心できるにおいがついているとリラックス効果もあります。

飼い主が抱っこした状態で車に乗せたり窓を開けて顔を出させたりする方もいますが、車酔いを悪化させるだけでなく愛犬と飼い主ともに危険を伴うのでやめてくださいね。

 

小まめに休憩をとる

時間に余裕を持って出かけるようにし、途中休憩時間を小まめにとってあげることも大切です。

最近ではドックランが併設されているサービスエリアなどが増えてきたので、利用すると愛犬の気分転換をさせることができますよ。

 

食事の量と時間に注意する

車酔いの原因になってしまうので、ドライブ直前に食べ物をお腹いっぱい与えたり、反対に空腹のままドライブに出発したりするのは避けてください。

車で出かける予定のあるときは、与える食事の量を通常の半分程度に減らすか、2~3時間前には済ませておくことをおすすめします。

 

車内の空調を快適にしておく

犬をドライブに連れて行くとき、気をつけたいのが「車内の空気」です。犬は嗅覚が敏感なので、強い芳香剤やタバコの臭いをとても不快に感じます。

乗車してからも「タバコを吸う」「臭いの強い食べ物を食べる」などは、極力控えてあげてくださいね。

犬が暑すぎてストレスを感じることがないよう、室内の温度管理にも注意してくださいね。夏場は車酔いと熱中症により最悪死亡する可能性もあります。空調は適温に保ちましょう。

車酔いの軽減にミントやジンジャーの香りのアロマなどを嗅がせると症状が落ち着くこともありますよ。

 

車酔いの薬は飲ませても良い?


車に慣れないうちから長時間のドライブを避けられない場合は、あらかじめ獣医に相談し処方された酔い止め薬を飲ませることもできます。

成分は人間用の酔い止め薬と変わりませんが、必要な分量の個体差もあるので飼い主の判断での服用はしないでくださいね。

最近は、犬専用の嘔吐の薬が認可されており、1日1回の投与で車酔い防止に一役買ってくれます。

もし「薬の副作用が気になる」「病院に行く時間がない」という場合には、犬の車酔い対策用サプリメントから試してみることもおすすめです。

飲ませやすいシロップタイプの車酔い対策サプリメントが販売されていますよ。

 

犬の車酔いは慣れてくることで緩和される


少しずつ犬を車に慣れさせることで、車酔いは回避できます。長距離の移動ができれば、愛犬との楽しいドライブや旅行が待っていますよ。

犬に負担がかからないように事前の対策をしっかり行うとともに、ドライブ先で犬にたくさん楽しい思い出を作ってあげてくださいね。

愛玩動物看護師 渡邉鈴子さん
もし愛犬がドライブ中に吐いてしまったらまずは車を止めて嘔吐物を綺麗にしましょう。この際に怒らず優しく声をかけてあげてください。また、外の空気を吸わせて落ち着くまで休憩をさせてあげましょう。脱水症状も気になるため、もし飲めそうであればお水も与えてください。症状が治らない場合は動物病院に受診することをおすすめします。