犬の虫歯の原因は?人から移る?症状や治療、対策方法などまとめ

  • 愛玩動物看護師
  • 監修者:渡邉鈴子
栃木県生まれ。帝京科学大学にて4年間、動物看護学をはじめとした動物関連の科目を学び、2023年5月には愛玩動物看護師免許を取得。これまでにうさぎや猫の飼育経験あり。現在では、ペット栄養管理士の資格取得に向けて勉強中。

犬は虫歯になりにくいといわれていますが、ある調査によると全体の5%程の犬は虫歯になっているといわれています。犬の虫歯についての正しい知識を身に着け、愛犬の健康状態を常に気にかけてあげたいですよね。

この記事では、犬の虫歯の症状や治療方法、対策についてまとめました。

出典:子犬のへや「犬の虫歯~症状・原因から治療・予防法まで」

犬の虫歯はどんな状態?種類は?

犬に歯磨きをしている画像
犬の虫歯は人間同様、酸などで歯が削られる状態です。

犬の口の中のpHはアルカリ性に傾いているため、虫歯にはなりにくいです。

虫歯の主なものは「歯の表面にある小さなくぼみにできる虫歯」「歯の側面に平らな部分にできる虫歯」「歯の根元にできる虫歯」3種類です。

虫歯は歯垢の中にいる細菌「ミュータンス歯」が原因です。歯に残った食べかすをミュータンス歯が食べて酸を放出し、歯の表面のエナメル質を壊します。最終的に神経や血管まで達して、痛みを引き起こして虫歯になるのです。

虫歯かも?と気付く症状は?

主な症状は「歯に穴があく」「歯の色が黄色や茶色に変わっている」「歯茎の腫れ・出血」などが挙げられます。

犬によっては虫歯の痛みから食べるペースが遅くなったり、食べなくなったりする場合もあります。犬の口臭についてはこちらの記事も参考にしてくださいね。

虫歯ができる原因は?

犬の歯を見る様子の画像

人の食べ物を与えすぎ?

ドッグフードに比べて人間の食べ物は糖分が多いため、虫歯菌に栄養を与えているようなものです。パンなどを与えている場合は止めましょう。

また、犬のおやつ等であっても濃い味付けがされているようなものも同様です。愛犬に与えるものは健康はもちろん、歯のこともよく考えて選択してください。

小型犬のほうができやすい?体質?

犬が虫歯になったというケースは決して多くはないため、虫歯ができる原因はハッキリしていません。

ただ、大型犬でも小型犬でも歯の本数は同じなことから、歯と歯の間隔が狭い小型犬のほうがなりやすいかもしれません。また、わんちゃんによって歯の生え方が異なり、食べカスが詰まってしまう子もいるでしょう。

人から犬に虫歯はうつるの?

人間の口内にある虫歯菌は、愛犬への食べ物の口移しやキスすることで移ります。

愛情表現としてやられている飼い主さんも多いですが、口移しやキスを止めことで愛犬の健康を守ることができます。

重要なスキンシップとして考えている飼い主さんは無理にやめることはありません。虫歯菌がうつらないように歯磨きの習慣や頻度を高めてあげてください。

犬の虫歯、治療はどうするの?

犬 寝顔

症状に応じて、治療は主に3つに分けられます。

虫歯を削りとる

虫歯を削りとる治療は、初期段階に多く行われます。虫歯になった部位を削り取り、つめ物をつめて修復します。

歯髄の除去

歯髄(しずい)とは、歯の神経のことです。虫歯が進み神経にまで達している場合、神経や血管が集まっている歯髄を除去することもあります。

抜歯

抜歯は、文字通り歯を抜くことです。虫歯が進んで深刻な場合は、歯を抜かなければならないこともあります。

犬の虫歯、治療費用は?

dog grooming, brushing teeth

病院や症状によって異なりますが、虫歯治療は30,000円程度かかることが多いようです。

抜歯は1本5,000〜10,000円程が相場です。神経を除去する手術や、銀歯の製作には一般的に50,000円程かかります。

決して安くない費用なので、ペット保険に入っておくと安心ですね。

犬の虫歯、対策は?

犬の歯を磨く様子の画像

歯磨きをする

家庭でできる虫歯対策の候補として最初に思いつくのが歯磨きです。理想は毎食後の歯磨きですが、週2、3日は口内の状態を確認しつつ歯磨きをできると良いでしょう。

口周りを触られるのを嫌がる子が多いので、徐々に慣れてもらえるようにコミュニケーションは十分に取りたいですね。飼い主さんが面倒だと思ってしまうと、ネガティブな気持ちが愛犬に伝わってしまうので注意してください。

デンタルガムを活用

歯磨きを上手にできないときは、わんちゃん用のデンタルガムを活用してみましょう。楽しく遊びながら歯磨きができるのでおすすめです。

ただしやはりメインで行いたいのは歯磨きで、デンタルガムは歯磨きができないときの方法の一つとして考えておいてください。

歯磨きの習慣で口内環境をキレイに

dog with a blue and white electric toothbrush

もともと犬の口内環境は虫歯になりにくいといわれていて、虫歯専門の動物病院もほとんどありません。

普段から歯磨きの習慣をつけさせ、愛犬の口内環境をキレイに保ってあげてくださいね。

愛玩動物看護師 渡邉鈴子さん
口の中の病気は気づきにくいことが多いです。犬は虫歯以外に、歯周炎になる可能性がとても高いです。定期的に口の中のチェックと歯磨きを行うように心がけましょう。