犬の包皮炎、原因と症状、治療法まとめ。洗浄はおすすめ?

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監修者:増田国充
所属:ますだ動物クリニック(静岡県島田市)

獣医師、北里大学卒。2007年にますだ動物クリニックを開院。一般診療に加え、鍼灸や漢方による専門外来を実施。運動器疾患やあらゆる疾患に対して 鍼灸による治療を積極的に取り入れている。国際中獣医学院日本校事務局長も務める。

包皮炎についてご存知ですか?包皮炎とは、ペニスの外側の表面とそれを包む包皮の内側部分が細菌に感染して炎症することです。

当然、オスの犬のみにみられる病気です。

何が原因で包皮炎になるの?
どんな症状?
治療方法は?

犬の包皮の多くはさまざまな細菌に感染していますが、病原性のものとそうでないものがあります。病原性のものに感染し、包皮内で増殖することで包皮炎になります。

この記事では、犬の包皮炎の原因と症状、そして治療法をまとめました。もし愛犬に包皮炎の恐れがあれば、ぜひ参考にしてくださいね。

犬の包皮炎ってどんなもの?

原因として考えられること

犬の包皮には、健康な状態では悪さをしない細菌である「常在菌」がいます。包皮炎は、なにかしらの原因で常在菌のバランスが崩れ、病原性がある細菌が異常繁殖することで炎症を引き起こし、発症します。

犬は人と違って「包茎」の状態が正常であるため、包皮内に汚れが溜まりやすく通気性も悪いことから細菌感染がしやすい環境になっています。

また、ペニスの先の毛が長い犬や、短足の犬種、肥満犬はペニスの先の毛が地面についてしまったり、うまく尿を切ることができず、尿が付着してしまったりすることで不潔な状態になりやすいです。

どんな症状が出る?

よくある症状は、包皮から黄色や緑色っぽいクリーム状の膿が出ることです。

抱っこをした際に洋服にベタベタした膿がつくことがきっかけで気づく方も多いようです。症状がひどくなると痛みが生じるため、ペニスが気になってよく舐める、おしっこが細切れになるなどの症状がでます。

また、包皮炎を起こしている細菌によって尿道炎や膀胱炎が二次的に引き起こされることもあります。うまくおしっこができない場合やおしっこが赤く血尿の場合は、これらを引き起こしている可能性が高いので、すぐに病院に連れていきましょう。

治療法は?

包皮からの膿が少ない場合、何もしないで経過観察するだけ、あるいは排尿後や散歩後にペニスを消毒薬で消毒するだけで済みます。

少量の分泌物は生理的範囲でも出るため、一度包皮炎を引き起こしてしまうと日常的に消毒が必要になります。

重度になると膿の量が多くなり、包皮内を洗浄する処置や抗生物質を用いた内科治療が行われる場合もあります。

犬の包皮炎には洗浄がいい?

包皮炎や、症状が軽度な場合におすすめな方法は、小まめに洗うことです。排尿後やお散歩後はペニスやその周囲を洗うようにしましょう。消毒薬を使用する場合は市販のものを使用せず、動物病院で処方してもらう方が安心です。

また、ペニスの先の毛が長い場合は切ることで地面につかないようにしてあげてください。切り方によってはおしっこの切れが悪くなって悪化させてしまうこともあるため、やはりカットを行う前に動物病院へ相談することをおすすめします。

去勢手術を行うことでペニスからの分泌物を減らすことができるため、症状によっては去勢手術を行うこともあります。

包皮炎でも油断は禁物

犬 病気

包皮炎は命にかかわる病気ではありませんが、稀に包皮炎が原因で重い病気に感染する場合もあります。包皮炎だからといって油断は禁物ですよ。

犬によっては臭いがキツかったり、膿の分泌が多すぎて家のソファやじゅうたんを汚したりといったことも多い病気です。

こまめに洗浄する、ふきとる、消毒液を塗るなど、症状によって対処法は異なりますので、基本的に飼い主さんだけで解決しようとせず動物病院に相談して最適な処置をしてあげてくださいね。

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