メス犬の飼い主さんが検討するべきことの1つに、「避妊手術」があります。とはいっても、いつ避妊手術をしたらいいのか、費用はどれくらいなのか…など、わからないことが多いとなかなか行動に移せませんよね。
この記事では、避妊手術の方法や費用、時期、術後、メリット、デメリットについてまとめました。
目次
犬の避妊手術、方法は?
卵巣摘出術
卵巣子宮摘出術
犬の避妊手術は方法が2つあります。卵巣だけを摘出する手術(卵巣摘出術)か、卵巣と子宮の両方を摘出する手術(卵巣子宮摘出術)です。ただ、最近では卵巣子宮摘出を行うのが一般的になっています。
卵巣を摘出すると子宮が本来の機能をしなくなり、子宮の病気対策になると考えられていますので、卵巣摘出術を選択する動物病院もあります。
獣医さんに相談して話をしっかり聞いて決めてくださいね。基本的にはどちらにするか方針を決めている動物病院が多いです。
犬の避妊手術、流れは?
避妊手術を受ける日は、当日0時か前日の夜から絶食させる必要があります。絶食時間は犬の状況によって異なるので、獣医の指示に従ってくださいね。
開腹手術を行う動物病院の場合、当日中に連れて帰れるケースは少ないですが当日帰ることのできる病院もあります。宿泊も1泊で済むことも多いですが、術後の回復具合によっては2泊することもあります。
腹腔鏡手術の場合なら当日に退院をすることができ、傷口も小さく愛犬へのダメージが少ないですよ。
犬の避妊手術、費用は?
費用
- 2~5万円前後
避妊手術の費用は犬種によって大きく異なります。
犬のサイズによって金額が変化し、小型犬なら2万円前後、大型犬の場合は5万円程度かかる場合もあるようです。居住地域によっては行政から避妊手術に補助金が出る場合があります。
どの程度の補助金が出るか、必要書類など、行政か獣医さんに聞いてみてくださいね。
犬の避妊手術、時期は?
避妊手術は最初の発情出血(生理)を迎える前か後かのどちらかで大きく異なります。
学術的なエビデンスだと、乳腺腫瘍は発情出血前での手術がのぞましいと証明されています。メス犬が初めて発情を起こすのは生後7ヶ月を過ぎてからなので、その1~2ヶ月前後が避妊手術でも適しています。
子犬から飼い始めた方は飼ってすぐに検討し、信頼できる獣医さんを見つけておくと良いですよ。
犬の避妊手術、術後は?
一般的に、避妊手術をした後は、1週間~10日後に抜糸となります。
手術から抜糸の期間と抜糸以降の数日は、縫合部分を舐めたり掻いたりしないようにエリザベスカラーや保護服をつけて過ごすことになります。数日間~1週間は、散歩や激しい運動を避けてくださいね。術後の痛みを軽減するために鎮痛剤を使用し、コントロールすることもできます。
病院の方針もありますので、獣医さんに相談して指示を仰いでくださいね。
犬の避妊手術、失敗することもある?
犬の避妊手術は獣医さんが最も頻度が多く行う手術ですので、不安になりすぎる必要はありません。
失敗することが少ない手術なので安心してくださいね。ただし、執刀医は信頼のおける先生を選ぶことをおすすめします。
犬の避妊手術、飼い主として気をつけるべきことは?
愛犬を動物病院に慣れさせる
手術前を同量のフードを与えない
手術前
動物病院に慣れていない状態で避妊手術などを受けさせると動物病院を嫌いになってしまう可能性があります。
体重測定などだけでも構わないので、子犬の頃から動物病院に慣れさせて不安を感じにくくしてあげることが大切です。
手術後
避妊手術後は基礎代謝が下がるので、手術前と同じようにご飯を食べさせていると肥満になってしまいます。
避妊後の食事量については獣医さんと相談の上、決めるようにしてくださいね。
犬の避妊手術、メリットは?
望まない妊娠の心配がない
生理トラブルに悩まなくなる
特定の病気にかからなくなる
発情に伴うストレスがなくなる
望まない妊娠の心配がない
望まない妊娠が増えると、やむなく飼い主のもとを離れてもらわざるを得ないケースがでてきます。
双方悲しい思いをさせないために、避妊手術は有効といえます。避妊手術を検討している飼い主さんのほとんどがこの理由です。
特定の病気にかからなくなる
避妊手術を受けると、繁殖器官の病気である「子宮内膜炎」「乳腺腫瘍」「子宮蓄膿症」などにかからなくなります。いずれも命に関わる病気で、特に老犬が多く基礎疾患や合併症も考えられるため手術ができない場合もあります。
特定の病気対策にもなるという意味で、早い時期の避妊手術を受けるメリットあります。
犬の避妊手術、デメリットは?
繁殖できなくなる
全身麻酔のリスクがある
太りやすくなる
糸アレルギーになる可能性がある
ドッグショーへの出場資格が無くなる
犬種によっては被毛の変化が生じる
尿失禁
繁殖できなくなる
手術後の繁殖は不可能です。
繁殖の道を残したいメス犬にはインプラントという避妊方法がありますが、是非が論議されています。インプラント剤による副作用も考えておく必要があります。
全身麻酔をする
避妊手術をするためには、全身麻酔をする必要があります。術前に、麻酔の種類や、そもそも麻酔をして問題ない体なのかの確認をするようにしてください。
「ブルドック」「フレンチブルドック」「ボストンテリア」などの短頭種の場合は、麻酔後に気道が閉塞してしまう危険性があります。全身麻酔に関して慎重に相談をしてくださいね。
麻酔のメカニズムについて
避妊手術は全身麻酔を行った上で行いますが、麻酔薬がどのようにして脳に作用するのかについては解明されていません。
また、極めて稀なケースですが、犬の健康状態によっては麻酔で死に至るという可能性もあるため事前の検査をきちんと受けることが大切です。
太りやすくなる
避妊を行うと食欲が増加する傾向にあります。愛犬の食欲にあわせて食事を与えると太ってしまいますよね。
肥満は「糖尿病」や「心疾患」などの生活習慣病のリスクを高めるので、健康のためにも食事内容やカロリーに気をつけてあげてくださいね。愛犬の食餌の管理や適度な運動に気を配り、未然に防いであげてください。
糸アレルギーになる可能性がある
手術に使用した糸が原因で、糸アレルギーになるケースがまれにあります。犬種ではダックスに多いといわれています。
アレルギー反応を起こしにくい吸収糸(溶ける糸)を用いて手術を行う事も可能なので獣医さんと相談してみてください。
ドッグショーへの出場資格が無くなる
ドッグショーは繁殖する犬を評価する場なので、避妊手術をした犬は出場できなくなります。
家庭でペットとして飼う場合は問題ありませんが、ドッグショーへの出陳を考えている方は手術を受けさせる前に注意が必要です。
犬種によって被毛の変化が生じる
ミニチュアダックスフンドのロングコートはこの現象が起こりやすい犬種として知られています。
尿失禁
避妊手術との関連性については未解明ですが、大型のメス犬は尿失禁を起こしやすくなるとされています。
避妊手術した犬におすすめのドッグフードは?
上の項でも触れましたが、避妊後は肥満になりやすい傾向があります。
肥満は様々な病気を引き起こす原因にもなりますので、しっかり対策しておきたいですね。
避妊前と同じ食事メニューだとカロリーの過剰摂取になってしまう可能性があるので、「低カロリー」で「太りやすい穀類などが使われていない」ドッグフードに切り替えることをおすすめしますよ。
愛犬と飼い主にとってベストな選択を
メス犬の避妊手術についてまとめました。
避妊手術は生後5~6ヶ月頃や生後8~9ヶ月頃の飼いはじめて間もない時期に行われるため、飼い主さんにとってははじめてのことばかりな時期で、戸惑うこともあるかと思います。
愛犬と飼い主にとってベストな選択をしてあげてくださいね。